中二病……思春期にだれもが通る、愛しくもイタい道。


いまでこそ「厨二かよw」と冷笑するあなたも、覚えがあるはずだ。二次元の世界の実在を信じ、自分が特別な力をもった選ばれし存在なんじゃないかと思っていた時代が。

そんな「中学二年生にありがちな妄想と思い込みの世界に生きる猫達」「永遠の中学二年生」をフィギュア化してしまった商品が登場。覚悟して対峙して欲しい!


・「厨二猫~ちゅうにびょう~」(税込300円)

株式会社バンダイからリリースされたカプセルトイ「厨二猫~ちゅうにびょう~」。なるほど、病(びょう)と猫(びょう)をかけているのだな。

公式サイトには「意外とビッグサイズ&それっぽいセリフの台座もついて、なんだかとってもお買い得!」とイマイチわからないアピールポイントもあった。「それっぽいセリフ」って……

ともかく我らが同胞を紹介しよう。刮目(かつもく)せよ。


・我は…混沌より生まれし漆黒の覇者

黒マントを着込み、すべてを浸食する負のオーラを放つ闇の帝王。


やばい。やばすぎる。いろんな意味で。


ミステリアスなオッドアイ。片方の目には魔力が宿り、人ならぬモノが見えている。かもしれない。


しっぽの力で、現実にはあり得ないようなジョジョ立ちでも安定して自立する。


本人(本猫)はその気になっているが、赤い首輪から染み出す家庭的な雰囲気は隠しきれない。お母さんに買ってもらったんだろう。どんなにカッコつけていても、住みかは子ども部屋であるというギャップ。

さすがに現代日本でマントは目立つから、所持していたという人は少ないだろうが、黒ロングコートなら覚えがあるだろう……? ないとはいわせない。


・くっ、こんな時に…鎮まれ…俺の右手…

続いて……出たぁぁぁ! 腕に包帯を巻いた人(猫)ー!!


まずい。右手の封印を抑えられなくなっている。こんな街中で力が解放されたら大惨事になる。


しかし、実はまんざらでもなさそうだ。


世代によって連想するキャラクターは違うと思うが、筆者は冨樫義博巨匠の、邪眼で妹を探している彼である。いまでいう “推し” は、バラのムチをふるう彼だったが。

キャラクターを少しでも身近に感じていたく、バラのポプリをポケットに忍ばせて学校に行っていたことは内緒である。


・私を本気にさせてしまったようだな

我々は、どうやら怒らせてはいけない男を怒らせてしまったようだ。


彼の真の姿を伝える人はいない。なぜなら、1人残らず戻ってこなかったからだ。


普段は凡人のふりをして社会にまぎれていても、本気にさえなれば、この世界をも滅ぼしてしまえる闇の世界の住人。これは怖い……!


怖い……


……怖いか?


・あなたにもあるだろう

このフィギュアの真の恐ろしさは、思い当たるフシがありすぎて、自分が恥ずかしくなる点である!

筆者にもある。盗んだバイクで走り出したいとは思わなかったが、鬱々とした閉塞感の中で「週1のジャンプの発売日のために生きていた」といっても過言ではない日々が。

もし中学校からの帰り道、異世界への入口が開いて家族や友人と2度と会えなくなるとしても、迷いなく飛び込んでいっただろうし、夏の夜に窓を開けては「迎え」がこないかと待ち焦がれていた。

なにか特別な、自分にしかなれない「何者か」になりたいと切望していたあの頃……。

「つまらない大人にはなりたくない」と、うそぶいていた自分に教えてやりたい。「仕事をして食べて寝るだけの平凡でつまらない大人になるのも、めちゃくちゃ難易度高いんやで」と……。


・残り3種の全6種

今回ご紹介できなかったのは「それは残像だ」「この左目に封印されし無限暗黒黙示録よ…」「この目は闇がよく見える…」の3種である。どれも負けず劣らずイタいから、ぜひ探してみてくれ。

発売は4月中旬からなので、まだ在庫ありの店舗もあるはず。全国のカプセルトイ売場で販売中だ。


参考リンク:バンダイ公式サイト
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.