あなたは幽霊を信じますか? まことしやかに語り継がれる怪談・都市伝説、全国各地での目撃談や奇妙な事故の数々。特にネットではそういった噂が尽きることはないが、福井県に「激ヤバ」と言われる島がある

東尋坊の北に位置する無人島『雄島』だ。東尋坊での投身自殺者が流れつくのが雄島と言われており、島の順路と逆の反時計回りに回ると死ぬという都市伝説がある。禍々しすぎるだろその島。というわけで、そんな雄島に潜入してみた

・福井県民は語る

そもそも私(中澤)が雄島の噂を知ったのは、生まれも育ちも福井県の古い知り合いYさんに聞いたからである。Yさんいわく、「雄島はまあまあないわくがある」とのことで、地元民にとっても心霊スポットとして知られているもよう。行ってみることを告げたところ「気をつけてくださいね……」と言われた。

・雄島に到着すると

一体どれだけ恐ろしい場所なのか。しかし、雄島に着くと予想とは違う光景が広がっていた。駐車場にはたくさんの車が止まっており、次々とやってくる家族連れや旅行団体などが雄島橋を渡っていくのだ。和気あいあいとしてるー

それもそのはず、雄島は国立公園に指定されている越前海岸のビューポイントの1つ。昔から「神の島」と土地の人にあがめられ、1000年の間斧が入れられていない自然は学術的にも貴重とされているのだそうだ。

というわけで、着いた瞬間、半強制的に観光地気分に切り替えられた私。ネットでは引き返したら憑りつかれるという噂のある雄島橋を親子たちの流れに乗って渡ってみると……


子供が釣りしてる……!

あの少年たちが死体を釣り上げた日には日本版『スタンド・バイ・ミー』みたいな映画が撮れそうだ。もはや怖いもへったくれもない気分で入口の鳥居をくぐる。念のため、一礼して「お邪魔します」と言っておこう。

・時計回りに進んでいると

鳥居のすぐ先には長い石の階段が続いている。ここから木が鬱蒼(うっそう)としており昼間でもなかなかのオーラだ。一緒に橋を渡ってきた家族連れの女の子が「怖い」と言って引き返すくらい。なんとなく人ならざるものの領域感が出ている

木の幹も波打っていてもののけ姫チック。登り切ったところで道が二手に分かれており、ここが遊歩道の始まりとなる。ネットで見た正しい順路は時計回りだから左か。そこで一度気を引き締めて左の道を進んでいくと……


え?


普通にすれ違っていく人がいる!

時計回りをしている私とすれ違うということは、相手は反時計回りということだ。しかも、ひと組とかふた組のレベルではない。時計回りの人と同じくらい反時計回りをしている人がいる印象

見たところ反時計回り勢に冷やかし的な雰囲気は全くなく素で歩いてくる。「山降りてきました、今から登るんですか? こんなところで会うなんて奇遇ですね」くらいのノリで逆走してくるではないか。そこですれ違ったカップルに声をかけてみた。こんにちは


カップル「こんにちはー」


──ここって反時計回りで回っても大丈夫なんですか?


カップル「え? どういうことですか?」


──ネットで反時計回りはダメと言われてまして。


カップル「そうなんですねー」


──なぜこの島に?


カップル「観光で東尋坊に来たら、東尋坊からここが見えまして。なんかあるぞって感じで来てみました」

──とのこと。噂しか知らない人にとっては「マジか」と思うかもしれないが、個人的にはこのカップルの話は「そりゃそうか」と腑に落ちるものだった。

・素朴な疑問

なぜなら、雄島には遊歩道にも看板にも現地には順路を示すものはないのである。正しい順路が時計回りなんてネットで都市伝説を調べない限り分からない。

そして、普通、観光で通りかかって、看板に「国立公園」と説明が書かれていたらネットでどんな場所か改めて調べないだろう。私も同じ状況だったら反時計回りしているかもしれない。

ここで私が疑問に思ったのは「都市伝説にあるくらい重要なものなら、どこかに順路が書かれていても良くない?」ということ。元はあって消えたなら、なんでもう1回書き直さないのか? それくらい対応してもいいくらいには重要なことのはずだ。

・ファンタジー映画のような森

で、ここから都市伝説の色眼鏡を完全に外して雄島を見てみたのだが、オーラがあると前述した入口は怖さというよりは神秘が勝つ感じ。ぐにゃぐにゃと縦横無尽に枝を伸ばす森は映画のセットみたいだった。島1つを覆うその森の中を歩けるのはなかなかの体験と言える。

まあ、確かに途中にあった大湊神社は年季が入りすぎなので、怖いっちゃ怖い雰囲気もあるのだがこれは神様だしね。恐れというか畏れ。進めば進むほどに圧倒されるような絶景が広がっていた

ネットで調べると色んないわくが出てくる雄島だが、実際行ってみると名実共に神スポット。福井県の雄大な自然が織りなす景色は心霊スポットとして恐れるだけで終わらせるにはあまりにもったいない。いやあ、満喫した! 楽しかったー!! しかし、駐車場に帰ってきた時、私はある事実に気づいた

・信じるか信じないかは

思えば最初に安心感を覚えたのは、この駐車場がいっぱいだったことからである。「な~んだ普通に人いるじゃん。別に誰も怖がってないじゃん」と。だが、よく見ると……

駐車されている車が全部他県ナンバーなのである


愛知県、兵庫県、大阪府、石川県などのナンバーは見受けられるが、福井県の車は見あたらない。土曜の昼間なのに……! これはこの日の偶然だったのか? それとも、地元民だけが雄島の真実を知っているということなのか。信じるか信じないかはあなた次第である。

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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▼島にある大湊神社

▼圧倒されるような絶景が広がる

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