「二度あることは三度ある」となるか、「三度目の正直」となるか……。2021年2月初頭、私(江川)はその分水嶺的な瞬間を迎えていた。千疋屋のマスクメロンの話である。

2019年から千疋屋の福袋を担当してきたが、毎年マスクメロンは福袋の目玉的な存在。私は担当した役得とばかりにメロンを持ち帰っていたのだが、以前の記事でお伝えしたように、2019年と2020年は腐らせている。1万円越えは確実と目される超高級マスクメロンを、2度にわたり腐らせ、捨てているのだ。

言い訳をすると、1月は複数の仕事が繁忙期となり、1週間以上帰宅しないこともザラ。家に冷蔵庫は無いので玄関に置くのだが、そのまま忘れ去り、次に目にした時にはカビに覆われていた……というパターンだ。

・まだイケる

今年はどうなるかと危ぶまれ……ては全くいなかったというか、ぶっちゃけ今年も例年通り完全に忘れ去って危ぶむ以前の問題だったのだが、2021年2月1日に放置されていたメロンを発見。

去年も同じようなタイミングで発見し、ナウシカの腐海にありそうなビジュアルになっていたため捨てたと思うのだが、今年はまだ大丈夫そうな見た目をしている。きっと玄関の温度が例年より低かったのだろう。

持ってみると、空気の抜けたボールのようにブニブニだ。指で突いたらそのまま穴が開きそう。下になっていた部分は凹んで色が変わっていた。そこはかとなく発酵しつつあるような匂いこそするが、不快な領域には至っていない。


まだイケるんじゃね?


メロンには消費期限だか賞味期限だかが記された紙がついてる。それによると「1月2~3日頃」に食べるべきであったらしい。ちなみに、こうしてブニブニしたメロンを弄(いじ)りまわしているのは2021年2月1日。千疋屋が推奨する期限から、およそ1ヶ月が経過している。


・あふれ出る汁

それでは切っていこう。ミイラのようになったヘタ周辺の皮を薄くカット。中はかなり柔らかいが、しかしまだ固形を保っているように見える。やっぱりまだイケるだろこれ。


そのまま四角く包丁でくりぬいてみると、それなりの硬さを保った層はかなり薄いことが発覚。1センチあるかどうかというレベル。それより先は、やや黄色がかってかなりグズグズの状態だ。なんというか、液体化している。


内部にはかなりの量のジュース。そして周囲に漂う圧倒的なメロンスメル。


・圧倒的甘さ

切り出した部位を食べてみると、普通に美味い。お店に売られているメロンならそれなりの歯ごたえがあるものだが、今食べているものはほぼ液体。それなりに固形を保っていた部分も、口に入れたとたん一瞬で液体化して消えていく。そしてあふれ出す大量のメロン汁。メチャクチャ甘い。


液体化の進行状況は均一ではなかったようだ。下になっていた方がよりグズグズになっているように感じられた。そして、放置時に上側にあったと思しき方面には、わりとメロンらしい硬さの部分も残っていることが発覚。

対して、ガチに皮ギリギリまでグズグズになって、果肉というよりは「メロンの繊維のメロン汁漬け」的な状態になっているエリアも。特に、外から見て色が変わっていた部分はその傾向が顕著だった。


こんな感じで、ビジュアル的には微妙そうに思える特徴が多い。しかし、味の方は悪くない。まず甘さが半端ない。理想的な完熟状態を少し通り越していそうな気はするが、中に溜まったジュースはもちろん、外皮ギリギリの部分までも甘い。皮をグニグニとしゃぶりたいレベル。

歯ごたえのある果肉はほぼ皆無だったが、グズグズな果肉をトゥルっと吸うように食べるのもそれはそれでウマかった。「腐りかけが一番美味い」というのはよく言われるが、そういう言葉が生まれるのも納得な体験だ。


・いつかは

とはいえ「一番美味い」と言う点に同意はしない。個人的にはウマいと感じたが、それなりにクセが強いのもまた確か。人によってはビジュアルでアウトな可能性とてあるだろう。この状態にはこの状態の良さがある……と言うのが正しい気がする。

そして、その良さはメーカーが推奨する状態の良さとはまた別物なのではなかろうか。何にせよ、3年目にして、ついに食べるに至った千疋屋のマスクメロン。

腐っても鯛ならぬ、腐りかけても千疋屋のメロンということか。なかなかのウマさだ。しかし、やはりいつか、メーカーが推奨するベストな状態で食べてみたいものだ。

参考リンク:千疋屋
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.