新年早々に、私は新宿高島屋の地下1階で敗北を味わっていた。確かに予兆はあった……しかし、いざ現実となると、なかなかの失意。

これは過酷な展開だ。ちょっと他の店舗も見に行ってみるか? そうだな、まだワンチャンあるかもしれん……。

・過酷

あれはちょうど1年前。2023年の福袋の時のこと。いつもどおり千疋屋にて10800円の福袋をゲットしたのだ。

少なくとも2019年、2020年、2021年の3年間(2022年は別の価格のを購入)においては、10800円の福袋にはメロンが入っているのがお約束だった。

しかし2023年の福袋からは、メロンが消失。まあ、コロナ禍とかであらゆる企業が大変だったのだ。これについては仕方のないこと。

かわりにパフェのチケットが入っていたが、超高級メロン1玉と比較して全く同格かというと、大いに議論の余地があると思う。千疋屋のメロンは凄まじいからだ。

今年の新宿高島屋の千疋屋の福袋は3種。3888円の「店舗オリジナル お楽しみ福袋」、7344円の「店舗オリジナル お楽しみ福袋」、そして16200円の「店舗オリジナル お楽しみ福袋」だ。

この値段設定を見た時、ちょっと嫌な予感がした。いつもの10800円の福袋が存在しないのだ。

これは、16200円のやつにメロンが入っているパターンかな? 約5000円の値上げなら、昨今の情勢的に妥当か。そんなことを考えつつ、スタッフにメロン入りはどれかと聞いたところ、予想外の返答が。


今年はメロン入りは無いんですよ……


3888円のや7344円のにメロンが無いのは問題ない。千疋屋のメロンは、その程度の値段で出せるものではないのだ。

しかし16200円のにも、メロンは入って無い……? つまり、全3種の福袋からメロンが消滅だと? アラモの砦どころか、ホワイトハウス陥落じゃねぇか。

こうして本記事冒頭の状態になる。マジで予想外だったので、店頭の写真すら撮っていなかった。


・メロン発見

しかしまだ希望はある。千疋屋の福袋は、店舗によって違うのだ。新宿高島屋店の近くで当日に店頭販売をやっているのは、池袋西武店、KITTE丸の内店、そしてアトレ目黒店。

福袋は時間が勝負だ。山手線ホームから店舗までの最短ルートを把握している池袋へ行くことに。20分ほどで到着! お、まだ売っているぞ。メロンも見える!


親切にも中身が展示されていた。値段は……21600円!!


編集部から提示された予算が約1万円なので、購入はできない。しかし今年のメロンのボーダーが見えた気がする。

新宿高島屋店の最高額である16200円にはメロン無し。池袋西武店の21600円にはメロン有り

これは、1万円だったメロンのボーダーが、2万円にアップしたと考えていいのではなかろうか? 千疋屋の福袋のメロン戦線は2万円スタート説

……さて、どうしたものか。ここはまあ、安い福袋でも買ってレビューして終わりでいいかもな。池袋では2万円のものしか残っていなかったため、再び新宿高島屋の千疋屋へ戻ることに。

すると、その他の福袋はすでに売り切れていた。

まあ、中身はいつものミルフィーユやフルーツケーキ。何年も連続で買っているので、今さら食レポしても仕方がない。それに、去年からの流れで注目ポイントはメロンだった。

じゃあ今年は千疋屋は無しでいいか。しかし用意してきた1万円をどうするか? そこそこ時間も交通費もかけてるぞ?


・逆転勝利

今いるのは、新宿高島屋の食品フロア。周囲は高級品ばかりだが、多くの店が福袋を販売していてお得にゲットできるチャンスが到来している。

仕事なので盲目的に千疋屋に固執していたが、買えない以上そうする理由が無くなった。ここで私本来の優れた自由な発想力が解放される。

この状況はよォ……むしろ、新宿高島屋の食品コーナーで1万円福袋チャレンジした方が、ネタとして面白いんじゃないか?

何なら伊勢丹とか他の高級百貨店でもやれて発展性があるし、単体じゃ記事のボリュームを稼げないタイプのものにも光を当てられるだろ。

ということで食品コーナーを散策。すでに出遅れており、福袋が売切れている店も出ていたが……


店のおじさん「おい兄ちゃん、これ安いよ!」

「おぉ、これは美味そう」

店のおじさん「もうここに出てるだけだよ!!」

「いつもは幾らなんです?」

店のおじさん「いつもは、このイクラだけで5400円!」

「えっ、じゃあこの明太子と塩辛と松前漬けは無料みたいなもん!? よっしゃ買った!!」

店のおじさん「まいどありィ!!!」


店のおばちゃん「お兄さん、これ8000円前後入って3000円よ!」

「おや、何です?」

店のおばちゃん「ほら、こんだけ入ってんの!」

「うわぁ、ダルマイヤーの肉じゃん! よっしゃ買った!!」


残りは1600円ほど。高島屋ともなれば、もはやその価格では空気くらいしか買えないだろう。引き上げるか……おや? とらやの干支柄化粧箱入り羊羹がちょうど1620円か。もはやこれはデスティニー。買っていくぜ!!!


ということで千疋屋の1万円の福袋を買う予定で始まるも、終わった時に手にしていたのはこちら。


・タナベ食品

タナベ食品でゲットした5400円の福袋。目玉は札幌シーフーズの いくらしょうゆ漬け。調べたら、マジで1箱5400円だった。


絶対に美味いことが匂いで確定しているイカの塩辛と松前漬けと


めちゃくちゃ立派な明太子は実質無料


さっそく食べてみたが、バチクソにうめぇ……!! この40年間の正月で食ったものの中で1番うめぇわ。


・ダルマイヤー

そして泣く子も黙る、ダルマイヤーの肉たち。ソーセージが3パック。


ハムとローストビーフが1パックずつ。


そしてハムとかベーコンとか。


グレイビーソースも付属。


先に高級海鮮丼パーティをしてしまったため、肉はまだテイスティングできていない。

しかしダルマイヤーなので不味いはずがないだろう。値段的にも、通常はハム2パックで3000円くらいする。これだけ入って3000円は超お得だ!


・とらや

シメは運命的な出会いをした、1620円の とらやの羊羹。


福袋ではないが、しかし干支の龍をあしらった化粧箱入りということで、福レベルは福袋に匹敵する

合計で10020円。諭吉(7月3日からは渋沢栄一)の使い方として、最も幸福度の高い方法の1つだろう。これはもう、逆転勝利ということでよろしいですね。

執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.