
成人の日を迎える新成人のみなさん、誠におめでとうございます。ジジイっぽいことを言うようでイヤなんですが、人生山あれば谷あり。いいことばかりじゃないけれど、悪いことばかりでもありません。そしてきっと、大人になったこれからの方が楽しいのだと思います。
で、私、P.K.サンジュンも今から23年前に成人の日を迎えたワケでありますが、実は生涯忘れ得ぬ言葉と出会った日でもありました。それは私の父、ヨシオさんからもらった手紙に書いてあった言葉──。ヨシオさんに成り代わりまして、ご挨拶させていただきます。
・23年前の話
今から23年前の成人の日、私は日本にいませんでした。というのも、当時はソウルに留学していたため、成人の日目前で韓国に飛んでいたのです。正直、そこまでパッとした高校生活でも中学生活でもありませんでしたから、そこまで旧友たちと会いたい気分でもありませんでした。
なので、この話は成人の日の数日前の出来事。成田空港に向かうため、父に地元の駅まで車で送ってもらったところ、別れ際に手紙をくれたのです。父からもらった初めての手紙でした。
・厳格だった父
当時の父は50を少し超えたくらい。そう思うと今の私とさほど変わりません。今でこそかなり丸くなった(特に孫には)ヨシオさんではありますが、当時はまだ威厳と多少のおっかなさを保っていたと記憶しています。
自分の父なので私は怖いと思ったことはありませんが、小学校や中学校の友達の間でヨシオさんは知られた存在でした。ヨソの子でも悪いことがあったら容赦なく叱りつけるうえ、サングラス & アイパーのビジュアルが単純に怖かったのでしょう。
私が高校生の頃、こんなことがありました。当時は暴走族ならぬ “チーマー” の全盛期。小学校の頃の友達もチーマーとなり、数人で電車の中で地べたに座り込んでいたそうです。そこに乗り込んできたヨシオさん──。全員が一斉に立ち上がったと、後から友達に聞きました。幼い頃の記憶って強烈ですね。
・生涯忘れ得ぬ言葉
話を元に戻しましょう。手紙をくれた父は「気を付けて行けよ」と言い残し、さっさと車で去ってしまいました。電車に乗り、一息ついたところで私は封筒を開けました。そこには1万円札3枚と便せんが1枚入っていました。
あまり多くを語らないヨシオさんらしい手紙です。「成人の日おめでとう」的な定型文もそこそこに、便せんにはクセの強い父の字でこうしたためられていました。
「俺はお前に金持ちになって欲しいと思ったことなんて1度もない。したくなければ結婚だってしなくていい。ただ、お前には “自分が満足できる時間を過ごせる人間” になって欲しい」
自分が満足できる時間を過ごせる人間──。その時はこの言葉がスッと入って来ず、私は何度も何度も「自分が満足できる時間を過ごせる人間」の部分を読み返しました。やがて数年かけてその意味を理解したと思っています。
・自分が満足できる時間を過ごせる人間
要するに「満たされながら生きて欲しい」ということでしょう。金で満たされるなら金を稼げばいいし、女で満たされるなら女を愛せばいい。その他の “何か” があるなら、その何かに満たされるために一生懸命生きろ、というメッセージだったと理解しています。
我が父ながら、とても立派だと思いました。私の自主性を最大限に尊重し、ただ純粋に我が子の幸せを願っていることが伝わってきました。何より恩着せがましくないところに、ヨシオさんの美学を感じた次第です。
もう16年すると私の娘が成人式を迎えますが、その時は同じ言葉を彼女に贈ることでしょう。そう、私も娘には「自分が満足できる時間を過ごせる人間」になって欲しいと心から願っています。新成人のみなさん、本日は誠におめでとうございました。
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.
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P.K.サンジュン

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