世の中には「ウソだろ?」と耳を疑うような話が少なくないが、これからご紹介する話は純度100%の実話である。なんならその証拠もバッチリ押さえてあるので、読者のみなさんも心置きなく「ウソだろ?」と思って欲しい。

思わず「ウソだろ?」と言いたくなることを言い出したのは、私、P.K.サンジュンの父(76歳)である。まさか身内が、まさか実の父があんなことを言い出すだなんて……。同じ血が流れているかと思うとマジで怖い。

・1人で暮らす父

数年前から父は1人で暮らしている。それまでは私の妹と一緒に暮らしていたのだが、現在は悠々自適のシングルライフ。母は10年以上前に他界しているため、食事・掃除・選択に至るまで1人でこなしているところだ。

もともと父は終戦直後生まれとは思えないほど家事をやる人で、昔から日曜日はよく掃除機をかけていた。やや神経質なほどのキレイ好きなため、どちらかと言えばいい加減な性格だった母よりも家事は向いていたのかもしれない。

・突然のLINE

料理だけは全く出来ないためアレだが、現在も掃除や洗濯を苦にしている様子はないもよう。そんな父から家族のLINEグループにメッセージがあったのは、つい先日のこと。やや誤字や読みづらい箇所もあるが、原文のままご覧いただきたい。


「みなさんおはよう御座います。本日シャワー浴びてから、洗濯をしたのですが、私が花粉症で、ウォーキングの間鼻がずるずるで、マスクをしてもすぐにベトベトになってしまうので、逆に息がしづらい。

そんなわけでいつも、歩く時は、ティッシュをダブルで挟んで歩いているのだか、胸ポケットに入れたまま洗濯してしまったから、大変で洗濯物外、洗濯機を捨ててしまうか、今迷っています?」


え……洗濯機を捨てるの?


要するに父はティッシュを洗濯機で洗ってしまったせいで、洗濯物がティッシュまみれになっているのだろう。イラっとする気持ちはわかるし、誰かに怒りをブチまけたい心情も理解できる。……が、洗濯機を捨てるとはどういうことなのだろうか?



・捨てることある?

私も過去に何度か誤ってティッシュを洗濯してしまったことがあるが、そんな時はとりあえず「ティッシュ 洗濯機」で検索した。少なくとも「このまま洗濯機を捨ててしまおう」という発想が頭をよぎったことはない。

私も結構な速度でスイッチが入る方だが、その大元は紛れもなく父である(母も結構あるけど)。あと数十年後したら、私も「ティッシュを洗濯しちまったー! いっそのこと洗濯機を捨ててやろうか?」という発想になるのだろうか? 考えるだけで震えが止まらない。

結局のところ、妹たちから「洗濯機は捨てちゃだめだよ」「根気よくやるしかない」「柔軟剤だけで洗濯回すと取れた気がする」などと励まされた父は、洗濯機を捨てることだけはどうにか思いとどまったようだ。

落ち込んでいるときに優しくされた父は嬉しかったのだろう。最後に父から送られてきたメッセージで、この記事は終わりにする。私と同じように高齢の親御さんがいらっしゃる方は、どうかなるべく優しく接してあげて欲しい。なぜなら本人たちはこんなにも自分を責めているのだから。


「自分の不甲斐ない無さにあきれています。畜生!!


──完──


執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.