古きをたずねて新しきを知る。本サイトではこれまで、日本最古の居酒屋や、世界最古の温泉宿などをご紹介してきたが、この度訪れたのは日本最古の地下街……すなわち浅草地下街だ。
天井の低さや建物の建て込み具合が、どう見ても現在の建築基準と違うこの地下街は、言わば昭和に埋められたタイムカプセル。そんな場所を歩いていると、謎のメニューが目に飛び込んできた。「カレーソース焼きそば」って何じゃい!?
・地下世界の入り口
浅草駅前にぽっかり口を開ける浅草地下街の入り口。薄暗い階段を降りると地下は別世界のようになっている。
一歩踏み込むと、ムッと押し寄せてくるのは熱気と下水の臭い。低い天井にはむき出しの配管、ギチギチに立ち並ぶ店の中には看板すらない店も。そのうらぶれた雰囲気には怪しさすら漂っている。
華やかな浅草駅前から一転する雰囲気は、まるで浅草の裏側。時代に置き去りにされたようなディープスポットがここ、日本最古の地下街こと浅草地下街なのである。
・謎のメニュー
そんな浅草地下街を歩いていると、謎のメニューを発見した。その名も「カレーソース焼きそば(税込450円)」。
カレー粉をまぶした焼きそばなら見たことがあるが、「カレーソース焼きそば」はカレー焼きそばなのか? それともソース焼きそばなのか? ちょうど昼時だったためその店『福ちゃん』に入店して注文したところ……
どっちもだった。
ソース焼きそばにカレーがぶっかけられていたのである。確かに、カレーそばやカレーうどんがあるんだから、カレーソース焼きそばがあってもおかしくはない。おかしくはない……よな? ほら、カレーとソースって合うし!
状況証拠から論理的に自分を納得させようとしてる私がいた。いまだかつて、料理を前にしてこんなに納得したくなったことがあっただろうか?
だが、理論をこねたところで答えは出ないだろう。ソース焼きそばにはすでにカレーがかかってしまったのだから。ならば踏み出すのみ。いただきます!
食べてみると、麺はかなりしっかりしている。そして、家カレーっぽいトロトロ風味のカレーに負けず劣らず主張してくるソース……なるほどなるほど……
完膚なきまでにカレーとソース焼きそばだ。
それ以外の何ものでもない味が口の中に広がる。濃いものと濃いものの組み合わせのためとても濃厚。まるでこの空間のように濃い。水がめっちゃウマく感じる味だ。
・ありそうでない料理
浅草地下街そのものな味であるカレーソース焼きそば。その味は、現代日本が失いつつある怪しさを残したありそうでない料理だった。
古きを訪ねて新しきを知る。浅草の華やかさの裏にある昔の日本を味わいたい人は、ぜひ一度浅草地下街へ足を運んでみてくれ。
・今回紹介した店舗の情報
店名 福ちゃん
住所 東京都台東区浅草1-1-12 浅草地下街
営業時間 火~金11:30~21:00 / 土・日11:00~20:00
定休日 月曜
Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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