この1~2年、毎月のように商品・サービスの値上げが続いている。何気ない買い物をしていても「高くなった」と実感する日々。ランチも1000円くらいが普通と感じるようになってしまった。

そういえば、東京駅八重洲地下街のカレーショップ「アルプス」は、以前タイムサービスでカレーライスを税込280円で提供していたんだよなあ。今いくらになってるだろうか? 気になったので、11年ぶりに訪問して価格をたしかめてみたところ、お店の良心に泣けてきた……

・11年前は280円

私(佐藤)が初めてお店に訪問したのは2012年9月のことだ。その当時はタイムサービスで、コロッケ・チキン・チーズのいずれかのカレーが税込280円だった。300円で釣りがくる、いまでは考えられないほど安い価格設定だ。これに100円のチキンカツを乗っけて、380円でカツカレーを食べることができた。


そのほかのメニューはビーフカレー450円、ポークカレー380円、カツ(豚)カレーが450円だった。あの頃はまだ消費税が5パーセントだったのだが、2014年に8パーセント、2019年に10パーセント(軽減税率8パーセント)と段階的に引き上げられた。現在は円安や海外の情勢不安の影響で、原油や原材料費が高騰し、物価高に拍車がかかっている。


当然アルプスもそれらの影響を免れないわけだが、カレーの価格はどうなったのか?



お店に行ってみると……


タイムサービスの商品は100円しか上がってねえ~~~! それでも380円だ。


タイムサービスは300円、350円と段階的な値上げを実施して今の値段に落ち着いているらしい。14~19時の時間限定とはいえ、まさにサービス価格だ。380円でもお店にとっては厳しいに違いない。本当に庶民の味方、頭が下がる……


券売機を見ると、価格もさることながら品数が増えていることに驚く。1969年創業、54年続く老舗でありながら、積極的にメニュー開発に取り組んでいるようだ。券売機の品揃えから、お店の前向きな姿勢が垣間見える


2012年と現在を比べると、価格はおおむね100円アップしている。ところが、カツ(豚)カレーは450円から500円に50円しかアップしていない。主力商品にも関わらず、上げ幅を抑えているところがとても良心的だ。


ここ東京駅に直結しているので利用客が多く、昼時には行列ができる人気店だ。とはいえ、原材料費の影響は少なくないはず。この10年の間に、上げ幅100円で踏みとどまってくれていることに、感謝の念さえ湧いて来る。



・ダブル炭水化物

BIGカツカレー(税込650円)を食べて帰ろうと思ったのだが、平日限定のちょっと変わったメニューが目に留まった。それは「カレー焼きそば」(税込600円)である。別途サラダ(税込120円)と一緒に注文してみた。


焼きそばとカレーを合わせたものかと思ったら……。


ご飯ものってます! まさかのダブル炭水化物メニューだった。



アルプスのカレーは、後味にほのかな辛味を感じるスパイシーさが魅力。もったりとした口当たりでありながら、辛味にキレがある日本式欧風カレーである。


これとソース焼きそばの相性はバツグンに良い。カレーにソースのコクが加わることで、奥行きのある味わいに変化する。トッピングの目玉焼きを絡めると、味の複雑さが増して、ハマる美味しさにさらなる変貌を遂げる。


とにかく、商売をする人にとっては厳しい時代である。お客さんを思うあまりに辛抱強く低価格を維持してくれるのは大変有難いことだ。とはいえ、お店があってこそ。できるだけ長くお店が続いてくれることを、心から願っている。


・今回訪問した店舗の情報

店名 カレーショップアルプス
住所 東京都中央区八重洲地下街2丁目1北1号 八重洲地下街外堀地下2番通り
時間 10:00~21:00(L.O.20:30) 土日祝11:00~20:00(L.O.19:30)
定休日 元日

執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24