地震や自然災害が多い日本。最近では北朝鮮のミサイル実験の脅威もあり、万が一のために非常食を準備している人も多いだろう。でも非常食の賞味期限って数カ月、長くて数年なのよね……それに食べるのにお湯が必要? そんな非常時に速攻でガスが来るかァァァァ!?

……と、思ったことがある人に朗報だ。長期保存OK、常温の水があれば食べられる、しかも軽くて、さらに家で作れる! そんな夢のような非常食が、この日本には存在するのである。それは「糒(ほしい)」。忍者や武士も愛用というサバイバルフードなのだ!

・伝統的サバイバルフード「ほしい」を作ってみた

糒(ほしい)とは、コメを乾燥させた食料のことだ。「干飯」と書いたり、「乾飯(かれいい)」と呼ぶこともある。その歴史は超絶古く、神話にも登場するレベル。

忍者や武士の軍用食として、また貴族の旅のお供にと、さまざまなシーンで活躍した伝統的サバイバルフードである。

しかも、一説によると20年も保存ができるという。そんなスゴいものなら一度食べてみたい、保存してみたい。ということで、まずは作ってみた。

【作り方】

1.炊いたご飯を水で洗い、ヌメリをとる。

2.オーブン100~110度(予熱なし)で90分、じっくり焼く。

※機種により調整してください

──以上である! すると炊飯器のフタにこびりついたようなカッピカピのコメが完成。これが「糒(ほしい)」だ!

重さもかなり軽い。携帯に便利というのはポイントが高い。しかし問題は味。そして非常時に食べやすいかどうかも重要だ。

・実際に食べてみた「イケるやん!」

この糒は、そのままガリっといっても構わないが、水でふやかして食べると良いらしい。いわゆる「アルファ化米」に近いものだそう。買うと高いのに、自宅で作れるなんて最高やん。

さて、そんな自作の糒を水でもどしてみることにした。待つこと30分……アラ、アラ、アラ! カッピカピのご飯がふっくらしているではないですか! 中までちゃーんともどってる!!

そんな糒の味は、ズバリ「冷ご飯」。このまま「チャーハンにしたくなるレベルの冷ご飯」にはなったのであった。

・災害後すぐに活躍できる非常食

毎日コレを出されたら、さすがにションボリだが、非常時に「ご飯らしいご飯」が食べられる。それも水をかければいいだけというのはありがたい。非常食の中にはお湯が必要なものもあるが、ガスの復旧は電気水道と比べて時間がかかりがちだ。調理にお湯がいるものは、災害後、ちょっと経ってからの話なのである。

そういう点で、糒は比較的早期から活躍できる非常食だと言えるだろう。何ならそのままガリガリいってもいい。

・20年保存できるってマジ?

そして巷で「20年保存できる」と言われている。それはさすがに眉唾じゃないの? と思ったが……根拠っぽいものを発見! 飛鳥時代に成立した倉庫における食料の貯蔵に関する法律『倉庫令』の中にこんな1文があったのである。

「凡倉貯積者。稲穀粟支九年。雑種支二年。糒支廿年。(岩波書店『日本思想体系3 律令』より引用)」

ザックリ訳すと

「倉に貯蔵するときは、稲、穀、粟は9年ね。雑穀は2年で。糒は20年!」

糒、20年保存説いただきました! 700年代、つまり今から1300年以上前から「20年」と言われてたんだなァ。ぜひとも本当に20年持つのか検証してみたい。そのとき、ロケットニュースが存在したら、はたまた私が生きていたら。

Report:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.

▼20年持つ……かはわからないが、2~3年は持つという報告も! 糒、なかなか有能ですぞ!!

▼次回、古典で読んだ「糒、涙でふやけた」説を検証! 検証・伊勢物語編につづく