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2016年8月21日に行われるリオ五輪の男子マラソン。42.195キロを、世界中から集まった選手が一斉に走る。もちろんその中には、カンボジア代表の猫ひろし選手も入っている。

2011年にカンボジア国籍を取得したものの、参加資格を満たしていなかったことからロンドン五輪には出場できなかった猫選手。

しかし今回リオ五輪への切符をつかんだ彼は、カンボジアの『プノンペンポスト』のインタビューに応じ、今の正直な気持ちを語ったのだった。

・猫選手が明かしたオリンピックへの思い

8月19日、『プノンペンポスト』サイトに、猫ひろし選手のインタビューが掲載された。39歳のコメディアンであることから、本名、芸名に Cat という意味があることなどが説明された後、まずはオリンピック会場での過ごし方について話が及んだ。

「だいたいリラックスして過ごしていますよ」と述べた猫選手は、レースの3日前からは炭水化物を多く摂取するようにしていることや、オリンピック会場で各国選手との “国旗のピンバッチ” 交換が流行っていることなどを明かした。

・カンボジア人選手たちとの関係

カンボジアの公用語であるクメール語が話せないという猫選手だが、カンボジア人選手たちと仲良く出来ているのか? そう聞かれた猫選手は、次のように答える。

「私たちはアスリートなので、連れ立って飲みに出かけたりはしません。けれども、一緒に練習はしますよ。その後は一緒に休んだり、何かを食べに行ったりします。選手たちからクメール語を習ったり、逆に彼らに日本語を教えたりします。そうやって私たちは、コミュニケーションをはかっているんです」

「私たちは同じスポーツで競い合い、共に練習し、大会に出てきました。ライバル同士、また友達同士なのです」

・一生懸命な練習が関係を深めた

同時にこの4年間諦めずに走ってきたことで、カンボジアの選手たちが自分を理解し、認めてくれているのではないかとも猫選手は感じているようだ。

「彼らから、一度だって批判を受けたことはありません。私がオリンピック選手に選ばれたことが分かったときも、彼らは私を讃えてくれました。私たちは競い合ってきましたが、彼らは、それはただの勝ち負けだと分かっていて、私が練習してきたことも知っているんです」

・4年前、日本から批判はあった

4年前、日本からは「オリンピックのために国籍を変えるのか?」「カンボジア人がどう感じるか考えないのか?」などの批判もあったようだ。

しかし猫選手が、一生懸命練習に取り組み、カンボジア国内でトップランナーとしての地位を守ってきたことで、日本からの批判も聞かれなくなったと話す。

「今では、日本でも批判されることはありません。諦めずに、この4年間練習を続けてきたことを本当に嬉しく思います」

また「カンボジア国籍を取得したことで、出会えた友人や選手たちがたくさんいます。カンボジア人になれて嬉しい」とし、今後も日本国籍を再取得するつもりはないと話していた。

・「猫のように全力で走ります!」

最後に「オリンピックの目標はなにか?」と聞かれた猫選手は、以下のように答えたのだった。

「私はマラソンが大好きだから、走っています。私の記録ではメダルは取れないと思いますが、私が一生懸命練習することで、他の選手の士気が高まるのを見ると嬉しくなりますね。(略)全力で走って、カンボジアに “猫の恩返し” をするのが私の目標です。猫のように全力で走ります!」

ちなみに大会には本名の “Kuniaki Takizaki” としてエントリーしているそうだ。彼の “猫のような走り” に期待したい!

参照元:The Phnom Penh PostRio 2016(英語)
執筆:小千谷サチ

▼選手村で猫選手の誕生日が祝われた模様

▼開会式の様子