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世の中には、「それは、いらん!」と言いたくなることがしばしばある。個人的には、酢豚にパイナップルが入っていた時がそうだ。コーヒーショップでドリンクを注文した際に、ホイップクリームがのっているにもかかわらず無慈悲につけられてしまうカップのフタもいらんのである。

だが、これらを差し置いて「それは、いらん!」の頂点に君臨するものといえば、「トイレ後の報告」だろう。聞いてもいないのに「並んでいたんだよ」などとアピールしてくる、あの勝手な報告はなんなのか。

・「並んでいたんだよ」

トイレ後の報告のなかでも、特に頻出度の高いフレーズが「並んでいたんだよ」だ。これは、待たせた相手が「自分も!」と、今まさに同じトイレに行こうとしている場合ならば有益な情報になる。無駄に並ぶことを回避できるかもしれないからだ。

だがしかし。そのような状況でもなく、「並んでいたの?」と聞かれたわけでもないのに「並んでいたんだよ」と報告をする人がいる。これは、つまるところ、「並んでいたんだよ(だから時間かかったんだよ。大じゃないよ)」ということなのだろう。

・「流れが悪かったよ」

「並んでいたんだよ」に比べると頻出度は低いが、「流れが悪かったよ」もしばしば耳にする。これも、待たせた相手が同じトイレを使おうとしているならば重要な報告だ。詰まらせないように使おうという注意喚起になる。

だが、そうではなく、「流れが悪かった?」と聞かれてもいないのに、この言葉を言う人がいる。結局のところ、「流れが悪かったよ(だから何度も流して時間かかっちゃったよ。大じゃないよ)」という意味だろう。

ただ、「流れが悪かったよ」の場合、「どんだけ大してんだよ!」と逆に相手に勘ぐられるリスクもあり、使い方が難しい。「並んでいたんだよ」に比べると使用頻度が低いのはそのためだと思われる。上級者向けのフレーズかもしれない。

・「大じゃないよ」

これら「トイレ後の一方的な報告」に共通しているのは、「大じゃないよ」である。つまり、「(時間かかったけど)大をしていたのではないよ、誤解しないでね」と言いたい気持ちが、人々に遠回しな言い方でトイレ後の報告をさせてしまうのだ。

だが、聞かれてもいないのに報告する必要はないと思うのである。そんな報告、いらんのである。好きにすればいいだろう。大だろうが何だろうが、心置きなくやればいい。その後も堂々としていればいい。「大じゃないよ」という返答は、「大してたの?」と聞かれたときにだけ使おうではないか。

トイレの時間が少々長くなったら「大じゃないよアピール」をしなければならないなんて、なんと世知辛い世の中であろうか。

執筆:むねやけサンデー
Photo:RocketNews24.