【徹底解説】ネットで話題の「イヌやネコが釣り針に刺されてサメのエサにされる動画」はインチキまみれのデマ動画だから騙されないように要注意(その3)

現在は閉鎖されている謎のサイト「saveourcatsfromfishermen.com」について調べてみると、作られたのは2009年の1月下旬。どんなサイトだったのかというと、たった1ページだけの商売サイト。しかし、そこに書かれている内容と、埋め込まれた動画に「反吐が出る」と海外のネットユーザーは嫌悪感を示したのだ。

要約すると、こうだ。

『生きた子猫で「釣り」だと? 本当なら気持ち悪すぎないか? 自分の目で判断してくれ!』

「地球の温暖化による影響で、施設では子猫やネコがあふれている。気温の上昇が、繁殖期を長く、そして頻繁にしているのだ。そして、金持ちで傲慢な釣り人が、この増えすぎたかわいそうな動物達を、サメなどのエサとして利用していると言う。

この病的な連中は、自分たちの歪んだ楽しみのために、子猫やネコを虐待し、それを “スポーツ” と呼んでいるのだ。私たちは、この恐ろしい行為が広く知られ、ネコや子猫の命が守られることを祈っている。

どうかオリジナルTシャツを買ってください。19ドル95セントです。私達は、売り上げの一部をPETA、SPCA、WWF、HumanSociety に寄付します。」

──そして、そこに埋め込まれていた動画こそが、このサイトの管理人が作った「ネコが釣り針に刺されてサメのエサにされる動画」である。そして、19ドル95セント(約2040円)で販売されていたTシャツのデザインが、下記の画像である。

saveourcatsfromfishermencom
cat-logo2

つまり、このページの内容と動画を見て、「私たちのネコちゃんを漁師から守ろう!」と思った人は、『私たちのネコちゃんを漁師から守ろうTシャツ』を買って下さいネ……ということだ。おそらく、心優しきネコ好きな人たちの何人かは、実際にTシャツを購入したことだろう。活動資金になると信じて。

・ネコをエサにサメを釣る動画に食いつくネコ好きを狙った詐欺

だが、前述のとおり、動画はウソ。アメリカ人がネコをエサにサメを釣っているなんて事実もウソ。たった2000円程度のTシャツを売るために、フロリダのペテン師がでっちあげた、心底セコいウソである。要するに、「ネコをエサにサメを釣る動画に食いつくネコ好きを狙った詐欺」ということだ。

ちなみに「saveourcatsfromfishermen.com」は、上記の内容で2010年ごろまで活動し、なぜか2011年ごろにサイト閉鎖。しばらくしてから謎の「スポーツニュースサイト」に変貌し、しばらくバスケのニュースなどを執筆してから再度サイトを閉鎖している。

baske

・ペテン師の正体は……釣りイベントのプロモーター!?

なお、このフロリダのペテン師についても、海外の有志たちは正体を突き止めている。名前はグラディ・ウォーレン(Grady Warren)なる人物で、天才的なペテン師であるという。さらに、ちょっと有名なレイシスト(差別主義者)の活動家であり、フロリダで開催されるスポーツ・フィッシング(釣り)イベントのプロモーター(興業主)でもあるという……。

Grady Warren

・なぜ「イヌをエサ」にではなく、架空の「ネコをエサに」にした?

それはさておき、なぜフロリダのペテン師は2009年に「saveourcatsfromfishermen.com」を作ったのだろうか。そして、なぜ、事実として事件があった「イヌをエサ」にではなく、架空の「ネコをエサに」にしたのだろうか? その理由も、とある有名な動物権利擁護団体の動きを調べてみると、おぼろげに見えてくる。次ページ(その4)で解説したい。

参照元:Wayback Machine [1] [2]、Ken NelsonAD SAVVYFISHING FURYCrooksAndLiars(英語)
執筆:GO羽鳥和才雄一郎

▼残酷なシーンもあるので閲覧注意だが、これはウソ動画である

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