本日2月22日はニャー、ニャー、ニャーの「ネコの日」! リアル世界もネット上もネコ様一色になり、人間はネコ様の素晴らしさにどっぷり浸かる。きっと「ネコと暮らしたい」と思う人も増えるはず。よきかな、よきかな……って、でもね!

ネコ様に比べて圧倒的に不完全な生き物である私たち人間に、ネコと暮らす権利が本当にあるのだろうか? 筆者は2匹のネコと暮らしながら、そう思うことが度々ある。殺処分、ペットビジネスの闇、動物虐待、野良猫問題……など、人間はネコに対してあまりにひどい仕打ちを続けているからだ。

今回も同じ疑問を抱く場面があった。それは知人に「今度引っ越すんだ」と話したときのことだ。

・知人が放った衝撃の一言

筆者は、この春引っ越しをする。先日、そのことを知人に話していたら、相手は何気ない感じでこう言ってきた……

「新しい家にネコも連れて行くの?」

私は最初、なにを言われているのか分からなかった。想像してみてほしい、同じ場面で「新しい家には子供も連れて行くの?」「夫と一緒に住むの?」と聞かれたら、驚いてしまうはずだ。家族の形も多様化してきた今、離ればなれで暮らす家族もいるだろう。それでも「引っ越す」と聞いて「夫や子供も連れて行くの?」と返す人は少ないのではないか……。

筆者もポカンとしながら、同時に「あ、この人は動物だから、こう言っているんだ。ペットを捨てることを話しているんだ」と思ってドキッとした。そして取り残されて戸惑う愛猫たちの姿を想像してしまい、胸が締め付けられた。

すぐに「もちろん、連れて行くよ!」と言ったが、言葉に詰まってそう返すのが精一杯だった。相手もこちらの動揺を悟ったのか、すぐに「いや、ネコは家につくって言うし……」とつぶやいた。

・ネコは家につくと言うけれど

たしかに「イヌは人につき、ネコは家につく」なんて言葉があるが、では家に残されたネコはどうやって生きていくのか? 飼い主に突然放り出されて、ごはんや寝床はどうすればいいのか? 第一、事故や病気、迷子にさせないためにも、完全室内飼育は基本中の基本で、ネコを置いていける訳もない。ならネコと離ればなれになるのか? そんなの嫌すぎる……!!

そんなふうに頭がグルグルしてしまったが、いや、分かっている。知人はただネコに興味がなかっただけなのだ。「ネコは家につくっていうけど、引っ越しのときはどうするのかな?」となんとなく聞いてみただけなのだろう。私だって、興味のない分野に関して、そのようなトンチンカンな質問をたくさんしているはずだ。

・「飼いネコも大切な家族。死ぬまで一緒」は常識ではない?

だが、それでもショックだった。知人は知性も優しさも強さも兼ね備えた常識的な人物。実家ではイヌだって飼っているそうだ。そんな人ですら「ペットを置いていく」可能性を何でもないように口にした。なら「飼いネコも大切な家族。死ぬまで一緒」という自分の常識が、世間では予想以上に通用しないのかもしれない……とショックだった。

生きていると様々な事情があるし、我が身を引き裂かれるほど悩んだ末に「手放す」という結論に至る人もいるだろう。

でも、でも、それでも、ペットの死に直結する「置いていく」「手放す」という選択肢は最悪以外の何物でもない。そんな選択肢を簡単にとってしまえる世界にいる私たちが、「ネコの日だよ! ニャーニャーニャー」なんて無邪気に言っているだけでいいのかな……なんて思ったのだった。

執筆:小千谷サチ
Photo:RocketNews24.