【徹底解説】ネットで話題の「イヌやネコが釣り針に刺されてサメのエサにされる動画」はインチキまみれのデマ動画だから騙されないように要注意(その4)

──実は、フロリダのペテン師が2009年に「saveourcatsfromfishermen.com」を作る前の2008年、『PETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)』という名の動物権利擁護団体が、とあるキャンペーンを始めたのだ。その名も「Save The Sea Kittens!」、和訳するなら「海の子猫ちゃんを守ろう!」である。

どんなキャンペーン内容なのかを、くだけた口調で表現するならば、「海の魚も生きてるんだよ! 動物なんだよ! 子猫ちゃんみたいなもんだよ! それを釣るなんて残酷すぎる! つーことで魚を食べちゃダメ!」だ。つまり “動物を食べるな” ということだ。ベジタリアンになれということだ。

・PETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)とは

ここで『PETA』について軽く説明しておこう。動物愛護団体というよりも、「動物の権利を擁護する団体」であり、その規模は世界最大級。あの「シー・シェパード」とも友好な関係にある。当然ならが世界中で活動しており、もちろん日本でも活動中だ。

たとえば「動物の毛皮」や「スペインの牛追い祭り」に抗議するために、PETAメンバーが裸でアピールをしたりするのが特に有名で、チキンが美味しいKFC(ケンタッキーフライドチキン)に対しても、たびたび抗議活動を行っている。「たこ焼きの販売をやめて野菜を売れ」という訴えも過去にはあったという。

・「スーパーマリオはタヌキ殺しだ」

ついでに書くなら、PETAのサイトには、任天堂のゲームを皮肉ったミニゲームまで用意されている。たとえば『スーパーマリオ』の変身のひとつ「タヌキマリオ」についてのミニゲームでは、「タヌキの毛皮を身にまとうマリオはタヌキ殺しだ」と訴えている。ほかにも「ポケモンは人間に酷使されている」的なゲームも存在する。
Mario Kills Tanooki

・寄付金は大手ファストフードチェーンとの戦いにも使われる

ちなみに、うっかりリンクを踏むと寄付ページへ飛んだりもするが、そこには「世界の食生活が “動物を残虐に殺すことのない食生活” になるために活動資金を寄付して下さい」的なことが書いてある。家畜が虐待されていないかの覆面調査や、“大手ファストフードチェーンとの戦い” のためにも、その資金は使われるという。

また、子供にも分かりやすいように絵本的なページも用意されているが、そこには「食用にされたネコは、ぬくぬくと自由に生きているネコのことを恨んでいる」といった表現もある。魚をネコに置き換えて考えよう、ということだろうか。いずれにしても、「魚がカワイソウ!」といった方向で一貫している。

・Tシャツの売上の一部は、PETAにも寄付します

そういえば、フロリダのペテン師は、「Tシャツの売上の一部は、PETAにも寄付します」と書いていた。本当に寄付しようとしたのかは怪しいところだが、いずれにしてもPETAのキャンペーンは熟知していると考えるのが普通だろう。ということは……おそらく、海外における流れとしてはこんな感じだ。

【海外における話の流れ】

2005年、フランスで「イヌをエサにサメを釣る」事件が明らかになる。

同2005年、釣り人は逮捕。さらに、同様の悲劇を防ぐための法律も制定。イヌエササメ釣り事件は、これで終了。

2008年、PETAが「海の子猫ちゃんを守ろう!」キャンペーンを開始。

2009年、フロリダのペテン師が「私たちのネコちゃんを漁師から守ろう!」キャンペーンを動画と共に開始。

わりとソッコーで捏造動画だということがバレる。

本気で検証する人も出てくる。フロリダのペテン師、ピンチ。

2010年サイトを閉鎖したうえ、動画も削除してトンズラ。

別の人物が、「私たちのネコちゃんを漁師から守ろう動画」のコピー動画「Disturbing Cruelty: Kittens used as Bait for Sharks」を2010年にアップ。英語での説明文で、2005年に起きたフランスの「イヌをエサにサメを釣る事件」にも言及。

──海外においては、ここでひとまず落ち着いている。しかし、話の流れを知らない人が、YouTubeなどにアップされるコピー版の「私たちのネコちゃんを漁師から守ろう動画」を見て、これが真実だと思い込んでいるというわけだ。世界中で、騙されている人が後を絶たないのが現状だ。

・日本は海外とは違った流れで伝聞された

残念ながら話はこれで終わりではない。上に「海外においては」と書いたが、実は日本では海外とは違う流れで話が伝聞されていたのだ。その答えは、最後のページ(その5)で解説する。次が最後だ。がんばって!

参照元:Sea KittensPETAMario Kills Tanooki(英語)
執筆:GO羽鳥和才雄一郎

▼残酷なシーンもあるので閲覧注意だが、これはウソ動画である

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