「一芸に秀でる」という言葉がありますね。その他の事柄がイマイチでも、ある分野において抜きん出た才能を持っている人を指します。一芸に秀でているということは、恋愛面においても大いに有効です。

先日、知人の家に遊びに行った際、大学生の息子さんがピアノを弾いてくれました。鍵盤の上を滑らかに行き来する指は実に美しく、「オトコが弾くピアノとは、こんなにもエロティックなものなのか!」ということを再認識させられたものです。

ピアノというと、ひと昔前は「女の子の習い事」というイメージが先行していましたが、最近では男の子にもピアノを習わせる家庭が珍しくないですよね。もし、「実はピアノを習っていた」というピアノ男子の皆さんは、これを恋愛に活用しない手はありません。

「俺のピアノを聴きにおいでよ」という誘い方は、非常に優雅でスタイリッシュです。「エロいことしたいから俺の家においでよ」と言っても、なかなか応じる女性はいないでしょうが、ピアノがある家なら話は別です。尚、最終的にエロいことをするつもりでも、一曲くらいはしっかり弾いてあげてくださいね。イチオウ、そういう建前で誘っているのですから。

女性側が意中の男性を、「アタシのピアノを聴きにおいでよ」と誘う場合は、選曲に注意が必要です。三十路以上の世代は、「ピアノ=女の子の習い事」というイメージがまだまだ強いので、男性側にとっては、ピアノが弾ける女性など珍しくもなんともないからです。

よって、モーツァルトだのショパンだの、有名どころを出しても誰も関心を示しません。「ラジオ体操第一の曲が暗譜で弾けるんだけど、聴きにおいでよ」と誘ったほうが、よっぽど興味を示してくれるでしょう。

「ピアノ=女の子の習い事」というイメージ同様に、「ギターが趣味の男性は多い」というイメージも強いですね。よって、「俺のギターを聴きにおいでよ」という誘い方はイマイチかもしれません。特に、バンドマン男性と交際したことのある女性からは、「自作のラブソングらしきものを延々フルコーラスで弾き語りされた際はかなりの苦痛を伴った」という声が多く挙がっています。ギター趣味は、お相手からのリクエストがない限りは封印しておいたほうが無難でしょう。

ここまで読んで、「楽器が弾けなければ、異性を家に連れ込むことは不可能なのか?」と憤慨した人もいるかもしれませんね。もちろん、皆が一芸に秀でているわけがありませんので、一芸が無い人は、別の部分で勝負しましょう。

もっともカンタンなのが、猫などのペットです。家で猫を飼っていると発言すれば、ほとんどの人は「見たい!」とノッてくるでしょう。もしノッてこなければ、それはよほどこちらに関心がないのか、猫アレルギーかのどちらかでしょう。

猫以外の動物は、ザリガニや金魚はセールスポイントが低すぎます。金魚でなく、熱帯魚なら話は別ですが。ハムスターやリスなどの小動物はギリギリOKといったところでしょうか。要するに、異性を連れ込むには哺乳類がベストです。甲殻類には荷が重すぎます。

楽器も弾けないし、ペットも飼っていないという人は、100インチのテレビがあるだの、実家からドンペリが送られてきただの、なんでもけっこうですので、家にオプションをつけることをオススメします。裸一貫の自分で勝負したいというお気持ちもわかりますが、ある程度のプロモーションも、恋愛には必要なのではないでしょうか。

恋愛コラムニスト:菊池美佳子