ガチ中華が日本に浸透して久しい。とくに以前から本場の味を手軽に食べられる池袋では、食べ放題を提供するお店が数多くある。私(佐藤)も時々利用しているので、ある程度その味には慣れているはずなのだが、先日、高田馬場を訪ねた際に、驚くべき食い合わせに遭遇した。

そのお店「拾味(シーウェイ)」は湖南・四川料理を提供しており、ランチ時はおかずとご飯が食べ放題。そこで注文した料理がちょっと辛くて、食べ切ることに不安を覚えたのだが、スープだと思った甘い汁を飲んだところ、辛味が一瞬にして消えた!

辛さと甘さの掛け合わせで、辛味が消えるとは……。これはまるで味覚をハッキングしているようだ。

・激辛 + 激甘 = 味覚をハック

その日は、目白からなんとなく高田馬場へ歩いていた。ちょうど昼時でそろそろ飯を食おうかなと思っていたところで、ここのお店の看板が目に入った。定食メニューはおおむね1000円。今日はここでいいかな。


お、スープ・杏仁豆腐・点心・サラダ・漬物・ご飯が無料! いいじゃないの。実際利用したところ、この通りの品が用意されているわけではなかったけど、その内容には不満がなかった。


入口は階段を上ったすぐの2階。この日は猛烈な雨で入口の傘立てはいっぱい。店内は中国語を話す学生さんばかりで、おそらく日本人は私だけだったと思う。多国籍料理のお店に行くと、そういうことはよくあるので、その状況にももう慣れたな。


注文は卓上のタブレット端末から。有難いことに日本語での表示にも対応している。のだが、一部日本語がおかしいところもチラホラ。メニューを選択すると、オプションで辛さの調整ができるようだけど、何が書いてあるのかわからないから、そのままで頼んだ。まあ、普通くらいなら食べられるでしょう。

頼んだのは「骨なし豚足ご飯」(税込1080円)、他のテーブルを見ると、みんな木桶みたいなのでご飯を食べていて、それがやたらと美味そうに見えたので、同じだと思うものを注文した。


注文すると、食べ放題のおかずを取ることができる。食べ放題とはいえ、当たり前だけど食べられないほど取ってはいけない。食べ残しは100グラムで500円のペナルティがあるので、気をつけよう。


それで用意されていたのは、「焼きそば」と「鶏手羽の麻辣あえ」。その向こうには「ザーサイ」。


それからこれは多分「揚げ饅頭」(マントウ)。


それと煮玉子。その隣にご飯とスープがあった。ご飯ものを頼んでも、ご飯おかわり自由というのはたくさん食べたい学生さんには有難いサービスだな。表の看板に書いてあったラインアップとは違うけど、これだけあれば十分でしょう。


注文した品と合わせると、1080円でこれは豪勢。おまけにおかずは食べ放題なので、コスパは高いと言えるだろう。


何も考えずに取ってきたけど、メインの骨なし豚足ご飯の量が結構多かったので、焼きそばはなくてもよかったかなあ。ちなみに揚げマントウはサクサクのラスクみたいでほんのりと甘かった。


豚足ご飯はこう見えて、この桶にしっかり入っています。ご飯の量はお茶碗に1膳半はあっただろうか。


しかも具材もみっちり。上っ面だけ乗っているのではなく、桶の半分全部に炒め物が入っている。


早速食べてみると、醤油をベースに味付けした豚足は柔らかく、プルプル食感がたまらない。ご飯のおかずにバッチリの濃い味である。だが、少し辛い……、いや結構辛い。通常の辛さならいけると思ったのに、これじゃあ食い切れる気がしないんだけどなあ。辛味ナシにすればよかった……。


やや戦意喪失しかけたところでスープを口にすると……、あれ? これめっちゃ甘い。先ほどまで口の中にあった、痺れるような辛さが一瞬で消えた! これは小豆の汁?


あとで調べたところ、スープとして提供されていたのは、「紅豆湯(ホンドウタン)」と呼ばれる冷たいおしるこだった。辛い料理のあとに甘いものが出てくるとは、なんとも面白い組み合わせである。

面白いことに、唐辛子などの辛味成分(カプサイシン)は水にほとんど溶けないため、水を飲んでも辛味は簡単には消えない。一方、油や乳製品などにはカプサイシンによる刺激を和らげる働きがあるとされている。

つまりこれは、味覚のハッキング、人間の感覚バグのようなもの。辛味は消えていないが、甘味を摂取することで、感覚が上書きされるのである。食い切れないかもと思うほどの辛味だったはずが、しるこひと口で消える。それが面白くて、豚足ご飯としるこを交互に味わい、気づけば完食していた。


そんなわけで、拾味はお得であるだけでなく、人間の感覚バグを楽しむことができるので、私と同じように辛いモノ苦手な人は、1度利用してみてほしい。しるこがあれば、何とかなるぞ。


・今回訪問した店舗の情報

店名 拾味(シーウェイ)
住所 東京都新宿区高田馬場3-2-15 RESTA takadanobaba 2F
時間  11:00~15:00、17:00~23:00

執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24