2024年1月12日『アクアマン / 失われた王国』が公開される。本作は2013年に幕を開けた「DCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)」の最終作とされ、第1作の「マン・オブ・スティール」から数えて第16弾となる作品だ。

DCEUが部分的にDCユニバースにリブートされる……なんてマニアックな話はさておき、ズバリ「アベンジャーズ / インフィニティ・ウォー」以来、ヒーロー映画の評判が全体的に悪い! その悪い流れは『アクアマン / 失われた王国』にも飛び火しているようだ。

・絶頂期は2018年?

思い返せば「アベンジャーズ / インフィニティ・ウォー」が公開された2018年は、ヒーロー映画の絶頂期だったのだろう。同年に公開された「アクアマン」の評判も上々で、世界興収が10億9000万ドルを記録するなど、DC映画史上No.1の興行成績を記録した(当時)。

だがしかし、盛者必衰の理を表すように、その後のヒーロー映画はいまひとつパッとしない。スパイダーマンなど数作品は大ヒットを記録したものの、2018年ほどの勢いが感じられないのが実情だ。

それどころか多くのヒーロー映画が、アメリカの評論家たちに酷評されている。あえて名前は出さないが、昨年公開された2つのヒーロー作品が「2023年ワースト映画4」に選出されたことは記憶に新しい。

・ちょっと待って

……が、2018年以降も全ての作品に目を通している私は、この場を借りて「ちょっと待て」と言わせていただく。確かに「エンドゲーム」から「インフィニティ・ウォー」への流れは最高で、映画史に残る強烈なインパクトも感動もあった。

ただあれは長年にわたり積み上げて来た “最終回的な要素” があったからこそで、ぶっちゃけその間には「全ッ然面白くない作品」もちょいちょい存在する。映画としての全体的なクオリティは、現在の方が圧倒的に高いと自信を持って言い切りたい。

つまり、当時と比較して「勢いが無くなった」などと言うのは本当に無意味。いまはどのヒーロー映画も新たなクライマックスに向けて、一歩一歩階段を登っている最中なのだ(しかもレベルは低くない!)。

・アクアマン2も面白いぞ!

さて、前置きは長くなったが『アクアマン / 失われた王国』も娯楽映画としては普通に秀作で、2時間ちょいの上映中に「退屈だな」と感じることはないだろう。単純にアクション映画として優秀な作品だ。

アクアマンを演じるジェイソン・モモアは「アイアンマン / ロバート・ダウニーJr」や「ワンダーウーマン / ガル・ガドット」らと並ぶハマり役で、本作を最後にアクアマン役を降板するのが実に惜しい!

また前作を観ておくに越したことは無いが、観ていなきゃわからないほど複雑なストーリーでもなかった。もっと言えば、前作を見ていない人対策の “回想シーン” がところどころに挟み込まれた優しい造りの作品である。

1つだけあるとすれば、前作は「水中の見せ方」に感動したが、本作でプラスアルファの感動は得られなかった。本作も水中のシーンはよく出来ているが、前作を見てしまっていると「水の中の世界をこう表現するのか……!」という感動は無いハズだ。

とはいえ『アクアマン / 失われた王国』は優秀な娯楽大作であり、劇場を去る頃には「アクション映画観たなー!」と満足できることだろう。妙に期待値を上げ過ぎるのは本当によくない! 『アクアマン / 失われた王国』は2024年1月12日公開だ。

参考リンク:アクアマン / 失われた王国
執筆:P.K.サンジュン
Photo:(c) 2023 Warner Bros.Ent.All Rights Reserved. TM&(c)DC

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