こうも毎日暑いのではやってられない。しかし人間にはエアコンを使うというテがあるので、まだマシだ。屋外での暮らしを余儀なくされる野生の動物たちは、過酷な日々を送っていることだろう。

奈良県にはご存知の通り公園に鹿がいるのだが、彼らも「暑くてやってらんねえな」という顔をしているように見える。しかし何故か、この時期の決まった時間に集まって過ごす習性があるのだ。

通称『鹿だまり』というが、記者もここ数年その現象を追っている。果たして今年2023年はどんな様子であるか、数回にわたり観察を行ってみた。

・いつもと違う場所で鹿たちを発見

はじめて本サイトで『鹿だまり』を扱ったのは2019年のこと。それ以降、毎年様子を眺め続けている。

日によって集まる数に変動があったりはするものの、例年それほど大きな違いは見られなかった。ただ去年(2022年)は鹿の集まりが悪く、またいつもとは違うところでも鹿たちの姿が見られた。

とはいえ、その日の体調や気分もあるだろう。記者が見に行った日が、たまたまいつもと違う場合もあるに違いない。

そんなことを考えながら2023年夕方、いつもの場所……奈良国立博物館前に足を向けた。サッと数えたところ約20頭の鹿が固まって座っているが、それほどたくさんという訳ではない。


ちなみに2019年はこの場所に600頭以上もの鹿がいたので、その時に比べると随分と少ない。2022年の26頭よりも、やや少ないだろう。しばらく待ってみたものの、集まってくる様子はなし。



日が良くなかったかなあと改めてみたが、さほど状況は変わらず。むしろ数は減っていた。まわりを見渡してみると、鹿たちは思い思いの場所で草を食べたり、観光客からせんべいをもらったりしている。


SNSで検索すると、7月の頭頃から徐々に鹿だまりがアップされていた。記者が見に行ったのは7月の下旬から8月にかけてだったので、遅かったのだろうか。

今年(2023年)は特に暑さも厳しく、鹿たちの行動スタイルも変化しているかもしれない。そう思いつつ、東大寺方面へと歩いてみたところ、人だかりを発見。

何を見ているのかと近寄ってみたところ、鹿たちが集まって寝そべっているではないか。これは……鹿だまり?? 



・深まる謎

そこは若草山という山が後ろに見える、東大寺参道すぐそばの奈良公園で、普段から鹿が多いエリアではある。この日は公園内でイベントも実施されていたので、イベントにやってくるお客さんからもらえる、せんべい目当ての集まりであったかもしれない。

しばらく眺めていても鹿たちは動く様子はなく、他所からやってくる鹿がちょこちょこいた。しかしながら例の鹿だまりと違い、決まった時間に何処かへ帰るということもなく、ずっとそこにいるか人に寄っていくかするという感じだ。


はてさて。いつもの時間にいつもの集会に参加せず、ここで何をしているのだろう。最近は奈良公園に、コロナ前のごとく人が多く押し寄せていることにも関係するのだろうか。

鹿愛護会の方々が鹿だまりについては「よくわからない」と言っているが、確かに毎年観察していても謎は深まるばかり。2023年も、さらに不可解な点が増えただけ、という結果になってしまった。

2022年、2023年と、段々といつもの鹿だまりから変化していることは明らかだが、果たして来年の2024年はどのような鹿だまりとなるのだろうか。引き続き観察を続けたい。

執筆:K.Masami
Photo:Rocketnews24.
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