「峠の釜めし」で有名な『荻野屋(おぎのや)』が東京・神田に立ちそば屋を出していることを、当編集部の中澤が先日お伝えした。実はその荻野屋、神田だけでなく有楽町の高架下にも店舗を構えているほか、GINZA SIXや日本橋高島屋にも出店していたのだ。知らない間にめっちゃ東京進出してるやん! 

それら店舗のうちの1つ、有楽町のお店ではめしではなくスイーツを提供している。ってことは、つまり……峠の釜めしじゃなくて、峠の釜スイーツだな!

・峠の釜めし

荻野屋の歴史をカンタンに紹介しておこう。荻野屋は1885年、信越本線横川駅開業に創業。当初は駅の利用客に弁当や菓子を販売していたという。

その当時、弁当は折り詰めが当たり前だったらしい。温かいものを求める客の要望に応えるために、1957年に土釜を利用した「峠の釜めし」が誕生したのだとか。

以来、人気ブランドへと成長するに至っている。

しかしコロナの影響で群馬・長野方面への観光客が減少。これを受けて地域と東京を結ぶべく、荻野屋弦を有楽町に出店したのである。


ちなみに “弦” とは、高架下のレンガ作りのアーチ(弓)に由来しているのだとか。



・釜スイーツ

駅弁の定番をお店で食べられるってことで、お昼時に訪ねると、提供メニューは「峠の釜めし」だけじゃなかった。ローストビーフ丼や親子丼も出しているのね。夜(16時~)は群馬・長野の地酒や地域の食材を使った一品料理も出しているそうだ。


で! 今回注文したのは、釜めしでも一品料理でもありません。勘の良い方は、外観写真で気づいたかも。


頼んだのは……コレ!


これが何かおわかりになるかな? 逆から見た方がわかるかも。


これはスイーツです。つまり、釜めしならぬ釜スイーツです!! 正解は~~~……、かき氷(税込700円)!!


まさか土釜に氷を突っ込んじまうとはね。てっぺんにかかっているのは餡子・栗ペースト・杏子ピューレ、それに生クリームである。



・餡子! 餡子!

まず最初に声を大にして言いたい。この餡子がウメエ! 近年老化と共に和菓子好きに変容した私の味覚は、この餡子を「ウマい!」と言っている。

餡子といえば、どちらかといえば粒あん派なんだけど、丁寧に裏ごしされたこのこしあんは評価せざるを得ない。とろける舌触りで夏の暑さを吹っ飛ばしそうだ。トッピングをチョイスできるならオールこしあん、こしあん山盛りでお願いしたいくらいだ。


栗もいいんです。ペーストのなめらかさはこしあんと同等。甘すぎないところも良いんだけどね、あいにく私はこしあんに心を奪われてしまった


杏子ピューレもいいんですよ。あんこと栗でぞんぶんに甘やかされた舌に、杏子の酸味は心地よい。果肉の食感がアクセントになって、より一層氷を美味しく感じるというものです。が! やっぱりこしあん、断然こしあんなのですよ。


上部をひと通り食べて、トッピングは終了。……かと思ったら、釜の底にも杏子ピューレが潜んでいた。


なお、味変もイケるんだぞ。追加トッピングに「ココナッツミルク」「抹茶ソース」「ほうじ茶シロップ」(各税込130円)も用意されている。3つセットにすると税込350円でちょいお得だ。私はココナッツミルクを追加で頼んでおいたので、ここらで味変タイム!


ココナッツミルクの優しい甘さと杏子ピューレのフレッシュな酸味を堪能しつつ、釜の底まで氷を平らげてフィニッシュ。かき氷といえども近頃は1000円超えのメニューを提供するお店が多いなかで、単品税込700円はなかなか良心的価格と言えるだろう。


土釜に氷を入れているのは、実は理にかなっている。というのも、土釜は保温性が高いので、中の氷はずっと冷たいまま。ガラスの器に入れるよりも長く冷たい状態を維持できているのである。おかげでほとんど溶けることなく、冷たいまま味わうことができたぞ。

なお、かき氷は有楽町店限定なので、お近くを訪ねる際はご賞味あれ。


・今回訪問した店舗の情報

店名 荻野屋 弦 有楽町店
住所 東京都千代田区有楽町2-9-8 JR東日本有楽町駅高架下 エキュートエディション有楽町
時間 11:00~23:00(夜のメニュー提供は16時~)
定休日 なし(施設に準ずる)

参考リンク:荻野屋[12]
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24