新幹線を使う人にはお馴染みの駅弁。東京在住で大阪が実家の私(中澤)は帰省する時に駅弁のお世話になることが多い。その際、毎回買おうか迷うのが「峠の釜めし」だ。容器が陶器のお釜のヤツと言えばピンと来る人もいるかもしれない。東京駅のは今はもう簡易容器になってるけど。

鳥ごぼう炊き込みご飯にしいたけとか栗とかが乗っている丼形式のこの弁当は、発売開始から60年以上で約1億7000万個を売り上げているという。そんなレジェンド駅弁を販売しているのは「おぎのや」という弁当屋なのだが……神田をブラブラしていたところ、『荻野屋 弦』という立ち食いそば屋を見つけた。荻野屋?

・知らんかった

正直、荻野屋っていう名前はありがちだと思う。したがって、その名前を見てピンと来るものはなかったのだが、立ち食いそば屋にしては綺麗な外観をしていたのでスマホで調べてみたわけ。

そしたら、あの「峠の釜めし」の荻野屋の立ち食いそば業態の店だというではないか。そんなんあったんか。全く知らんかった。

・全てのメニューに日替わりごはん

それもそのはず『荻野屋 弦』は有楽町と神田にしかない上、神田店のオープンは2022年6月である。駅弁容器が使い捨てになったのより最近じゃないか。というわけで入店してみたところ、壁側の机には椅子が置かれており、窓側が立ち食いスペースとなっていた。

ランチタイム(11時~15時)は全てのそばに日替わりごはんがつくという。「かけそば(税込み680円)」「しらすあおさそば(税込み880円)」「かき揚げそば(税込み880円)」と立ち食いそばと考えるとちょい高めにも感じたが、炊き込みごはん込みならまあこんなもんか。



・やっぱり食べたいアレ

おすすめメニューの「彩り野菜のトマトそば(税込み980円)」も冷やしだと夏に合いそうだ。だが、やっぱりここは……


「峠の釜めし・そばハーフセット(税込み1600円)」だろうな

そう、峠の釜めしがセットの飯でついてくるそばセットがあるのである! さすが荻野屋の立ち食いそば屋。しかも、ちゃんと益子焼の器じゃん

駅弁だと、この器に憧れる反面、処理に困るという側面があったが、店舗だったら置いとけばいいからそのジレンマはない。新幹線で食べるより全然良いなコレ



・スペシャルな気分も添えて

ちなみに、そばは細くてグッと歯ごたえがある食感。冷しにしたのだが、つゆにはちゃんとコクがある。メインは釜めしのイメージだったから、テロテロで明らかにオマケみたいなそばの可能性も考えていたのだが、なかなかどうして普通にウマかった。

視線を上げるとそこには神田の町。だが、見慣れた町が車窓の景色のように新鮮なものに見えた。シンプルな味や量だけではなく、この気持ちも含めて味わい深い店であると言える。旅がしたくなったのであった。

・今回紹介した店舗の情報

店名 荻野屋 弦
住所 東京都千代田区鍛冶町二丁目14番3号
営業時間 ランチタイム11:00~15:00 / ディナータイム17:00~23:00 ※8月1日から月~土11:00~21:00に変更
定休日 日、祝日

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.