幼少期からワキの多汗に悩んできた私が最近得た気づき……それは「私はたぶん、多汗ではない」ということだ。Tシャツに汗染みができたことも、汗の量や匂いについて誰かに指摘されたことも無い。実際のところ、私の汗量ってごく普通なのかもしれない。

ちょっと何言ってるか分かりにくいかと思うが、つまり “問題の程度とコンプレックスは関係ない” ってこと。私は多汗症ではないかもしれないが、ずっとワキ汗に悩んできた。ならば、それは立派なワキ汗・コンプレックスだと思うのだ。

……ってなワケで私、今回思い切って汗腺を破壊してきた。同じ悩みを抱える同志たちの参考になれば幸いだ。

・カウンセリングその①

ハタチのころに永久脱毛した私のワキはピカピカだが、それでも雑誌のモデルさんみたく “両手を広げてワーイ” のポーズを1度もキメたことがないのは、ひとえにワキ汗が気になるから。このコンプレックスのせいで恋のチャンスをいくつか逃してきた気がする。

別に私のワキが多少汗ばんでいたとて、それで幻滅するような男性もそう多くはないと分かっちゃいる。分かっちゃいるが、気になって気になっていつもワキを締めて過ごした青春時代。これはもはや、ワキではなく心の治療なんだと思う。

私がこの悩みを本気で解決しようと動き出したのは2年前。ワキ汗の元凶たる “汗腺” を切除する手術があると聞き、都内の専門医へカウンセリングの予約を入れた。「ワキ汗 手術」と検索すれば上位に表示される有名院だ。


そこで私は、なんかめっちゃ怒られてしまった。


医師の言ったことを要約すると、汗腺の切除手術を行うのは “じっとしてても汗がしたたる” “部屋じゅうにワキの匂いが充満する” ような人に対してである。よってお前のような多汗かどうかも怪しいレベルの小者に施術など、バカも休み休みに言ってほしい……とのことであった。

重度の患者さんに失礼があったのなら謝るが、そんなこと知らないからカウンセリングに来ているワケで、HPには「相談だけでもお気軽に」とか書いてたくせに、そんな言い方って、ある? というのが正直な気持ちだった。この件は今でも納得いっていない。


・カウンセリングその②

心が折れた私はしばらく計画を頓挫。そして2年後、「最近は切らない治療もある」という噂を聞きつけ、都内の専門医へカウンセリングの予約を入れた。もちろん先述のクリニックとは別のところである。

それは『ミラドライ』という治療方法で、 “マイクロ波を照射し、汗腺にダメージを与える” というもの。もちろん個人差はあるが、高確率で汗の量や匂いを大幅に軽減できるのだという。え〜〜〜〜マジ? マジ話??

気になる費用は、私が調べた限り都内最安で約15万円。高いところだと50万円以上と、クリニックによってかなり開きがあるようだ。この日訪れたクリニックは約25万円とのこと。担当のドクターも親切だし、もう、ここに決めちゃおっかな?

……と思っていたのだが、最後に「今ここで予約を入れれば25万円。ただし検討するなら30万円になる」と言われて一気に萎えた。価格はともかく、な〜んか悪徳商法みたく思えてしまったのだ。ノリで決めるべきではないと考え、計画はまたも頓挫に。


・そして3度目の正直

そこから数カ月後……ついに私はミラドライの治療を受けた(別のクリニックで)。

パンフレットには「痛くない治療」と明記されていたが、そんなの嘘である。正確にはミラドライそのものではなく、麻酔がかなり痛い。このクリニックのドクターは「麻酔がかなり痛いですよ」と事前に教えてくれており、その正直さが決め手になった。

また「なぜクリニックによって価格が全然違うのか」という私の質問に対し、キッパリ「機械はどこも同じです」と答えてくれた点も気に入った。クリニック選びは相性である。めんどくさいけどみんな、頑張って納得のいくクリニックを見つけてほしい。

さて問題の麻酔は両ワキに注射針をメッタ刺しにするというもので、まぁ痛いっちゃ痛いが「これで長年の悩みが消えるかも」と思えば全然耐えられる程度だ。たぶん両ワキで合計100回は刺した。耐えられるけど、痛い。

麻酔さえ終われば、あとはミラドライのマシンでじっくり汗腺を焼いてもらうだけ。揉まれているような感覚で全然痛みはない。照射中はマシンから壮大なヒーリング音楽が流れ、だんだん『時計じかけのオレンジ』みたいな妙な気持ちに。所要時間は1時間ほど。


・結果は……

なおミラドライの効果については、事前に「汗の量やニオイが約6割程度減少するとされている」と説明を受けた。ネットのクチコミなどでは「効果がなかった」というものも見られたが、こういう治療は個人差があって当然である。そのへんは納得のうえで行うべきだろう。

照射当日の私のワキはあまりに無惨な状態だったため、コンプライアンス的にお見せすることができない。以下は照射3日後の画像にモザイクを入れたものである。

……名誉のためお断りしておくと、通常時の私のワキはこんなブクブクではない。麻酔と照射の影響でパンパンに腫れ上がっているのだ。

照射当日と翌日は時おりズキリ! と刺すような痛みがして「マジ大丈夫だろうか」と震えたが、3日目以降はほぼ消滅。腫れも1週間ほどで見た目には分からないほどになった。そして……


なんと照射直後から、ワキ汗がほとんど無くなったのである!!!!


体感としては、以前より8割ほど汗量が減った……つまり、ほぼ汗が出なくなった。「時間がたって再発」という症例もあるようなので安心はできないが、ひとまず私を長年苦しめてきたコンプレックスは一瞬で消滅したのだった。ミラドライ、忖度抜きでスゴい!!

今回私が支払った金額は約20万円。個人的には安すぎる買い物だったと感じているが、何度も言うように結果には個人差があるため、本記事はあくまで参考にとどめておいていただけると幸いだ。

ただひとつ言えるのは、様々な医療技術が思ったより速く進歩しているということ。コンプレックスは自力で克服するのも一興であるが、ちょっと治療すれば一瞬で無くなる場合もある。ことワキの悩みに関していえば、ミラドライは確実に選択肢に入れるべきではないだろうか……以上、コンプレックスを克服したての私がお伝えしました。

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.