2023年4月28日、映画『聖闘士星矢 The Beginning』が公開される。聖闘士星矢(せいんと せいや)とはもちろん車田正美先生が描くあの聖闘士星矢のことで、ジャンプ黄金期を支えた伝説の漫画作品が実写化で登場だ。

これまで漫画の実写化、特にジャンプ作品の実写化が成功した例はほとんど無いが、もしかしたら『聖闘士星矢 The Beginning』は漫画の実写化の正解を導き出したのかもしれない。その理由とは……。

・胸アツジャンプ黄金期作品

1985年から少年ジャンプにて連載されていた『聖闘士星矢』は、漫画はもちろんのことアニメも大ヒットを記録した作品として知られている。当時の少年たちが毎週土曜日19時からの聖闘士星矢を見逃すと、翌週の話題についていけないほどの影響力を持っていた。

私(サンジュン)自身も聖闘士星矢のど真ん中世代で、好きなキャラクターはアンドロメダの瞬! 聖闘士クロスもめっちゃ持ってた!! やぎ座なのでカプリコーンのシュラに肩入れしていたが、ミロとかアイオリアが羨ましかったなぁ……デスマスクよりはいいけど。

そう、漫画の実写化が盛大にコケる理由はまさしくこれで、見る側の並々ならぬ思い入れが実写化の障害になるのだろう。「見た目が違う」「声が違う」……などなど、人気作品であればあるほど実写化のハードルは高いハズだ。

・違和感はほぼなし

だがしかし、結論から申し上げると映画『聖闘士星矢 The Beginning』はさほど違和感がないまま、上映時間の約2時間を終えることが出来た。ツッコミどころがないワケではないものの「漫画の実写映画をすんなり鑑賞し切れた」という事実。実はこれってスゴイことではないだろうか?

あらかじめ申し上げておくと『聖闘士星矢 The Beginning』が「今年1番おもしろい映画」だとは言わないし「絶対に劇場で観るべき!」ともオススメしない。もしかしたら私自身、1年後には内容をすっかり忘れてしまっている可能性も否定しない。

……が、逆に『聖闘士星矢 The Beginning』が駄作だとは思わなかったし、これまで屍の山を築いてきた漫画の実写作品の中では “優良作品” と言っていいだろう。繰り返しになるが「漫画の実写映画をすんなり鑑賞し切れた」という事実自体が凄いことだと考えるからだ。

・違和感がなかった理由

ではなぜ違和感がなかったのか? 理由はズバリ「全編英語だったから」とどのつまり「ハリウッド映画だったから」に尽きる。星矢役こそ日本人の新田真剣佑だったが、その他のキャストはほぼ外国人だったことも大きい。

その新田真剣佑も英語がベラベラなので「このセリフはそうじゃないんだよなぁ」的な違和感が一切なし! もしこれが日本語で日本人だらけのキャストだった場合、思い入れから来るツッコミが山ほど出てくるに違いないのだ。

要するに全編英語のハリウッド作品だったおかげで、映画『聖闘士星矢 The Beginning』は聖闘士星矢でありながらも聖闘士星矢ではない “違う世界の星矢” を観ているような感覚であった。この距離感の取り方は、もしかしたら漫画実写化の正解の1つではないのだろうか?

また本作は漫画でいうところの序盤の序盤のエピソードなので「続編があるなら観てみたいな」とは素直に思った。1つだけネタバレしてしまうと瞬は出てこない! ワシは瞬のネビュラチェーンが見たいんや!!

1つだけ言えることは、これまでの実写映画と『聖闘士星矢 The Beginning』はかなり違うということ。これまで漫画の実写化にガッカリした人にこそ、1度ご覧になっていただきたい。ジョジョ……おっと、悪口はここまでだ。

というわけで、違和感なく鑑賞し切れた映画『聖闘士星矢 The Beginning』は2023年4月28日に公開だ。君は小宇宙(コスモ)を感じたことがあるか?

参考リンク:聖闘士星矢 The Beginning
執筆:P.K.サンジュン
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