これから紹介するのは、鬼滅の刃(以下、鬼滅)関連の商品である。“鬼袋” という名前で売られており、購入するまで何が入っているか分からないから、いわば福袋のようなもの。

なお、鬼袋はドン・キホーテ秋葉原店限定の商品で、2021年の1月下旬に私が店舗を訪れたとき並んでいたのは税抜2021円(税込2223円)の1種類のみ。そしてその袋には、以下のように記載されていた。


「この価格に釣り合わない商品の数々…鬼に勝てるのか!?」


よくよく考えると、「価格に釣り合わない」には2通りの意味が考えられる。価格と釣り合わないほど中身が良いか、逆に中身がダメかだ。前者ならどこの店でもやる豪語だが、後者ならヴィレバン福袋のような開き直りと言える。

一体どっちだ? と気になったので購入し、開封してみると……



・でかラバーストラップ(禰豆子)
・VETCOLO 鬼滅の刃 グリッターアクリルキーホルダー(吾妻善逸)× 2
・鬼滅の刃 76mm缶バッジ(胡蝶しのぶ)
・鬼滅の刃 木製ストラップ(吾妻善逸)
・鬼滅の刃 ネームバングル (我妻善逸)
・鬼滅の刃 てくトコ アクリルフィギュア(嘴平 伊之助)
・ベルハウス 鬼滅の刃禰豆子といっしょ缶バッジ
・アクリルキーホルダー(禰豆子)

※同じ価格の鬼袋でも中身が異なる可能性があります


単品価格をネットで調べたところ、余裕で元が取れていることが判明。1つずつ買った場合に比べて、鬼袋だと3分の1くらいの価格でゲットできたことになる。得か損かでいえば、間違いなく得だろう。

よって、「価格に釣り合わない」はポジティブな意味である可能性が高い。だがしかし! 私は同時に、こう思わずにはいられなかった。


こりゃ在庫整理だなと。


開き直って在庫整理している感と言おうか。だから正直なところ、グッズを手に入れた喜びや、「これは何だろう?」という好奇心は、開封と同時に死んでしまった。「在庫整理」の4文字があまりにも激しく のしかかってくるがゆえに、圧死したと言っていい。

もちろん、何も商品が悪いわけではない。組み合わせが絶望的なのだ。考えてみて欲しい。これだけのキーホルダーを一気にもらって、どうしたらいいのか。一体いくつ鍵束を持ち歩けというのか? ストラップも同じだ。一体どこに付けたらいいのか。


ただ見方によっては、これもまた鬼滅の1つの現実だろう。ご存知の通り、漫画・アニメは大ヒットし、2020年に公開された映画は日本の映画史を塗り替えたほど。結果として鬼滅とコラボする企業が後を絶たず、関連商品が世の中に出まくった

が、一方で「やっべ! 作りすぎちゃった!!」とか「鬼滅の商品だから売れるかと思って仕入れたけど、この在庫どうすんねん!!」的なことも起きているに違いない。そのような事情は察しがつくのだが、一気にもらったところで……



ってハッ!


もしかして……



・鬼とは?

袋に書いてあった “鬼” とは、自分の中のネガティブな感情の比喩なのだろうか? つまり、「鬼に勝てるか?」は「こんなに缶バッジいらんわ」的な気持ちに打ち勝てるかという意味だった……のだろうか。だとしたら、私は鬼に負けたと言っていい。完敗もいいところだ。

逆に言うと、これは “鬼滅愛” が試される商品とも言える。愛がハンパなく強ければ、「よっしゃー! 禰豆子のラバーストラプゲットだぜぇぇぇ!! 善逸のキーホルダーなんて、全く同じものが2つも入ってるぞぉぉぉ!!!! 強運すぎぃぃい!!!!」的な気持ちになるかもしれないが、そうでなければ負けて鬼になるしかない。


いや、 “鬼滅愛” がメチャクチャ強いだけでは条件として不十分だ。加えて、2000円ちょいのお金をキーホルダーやストラップに全投資しても何とも思わない金銭感覚の持ち主で、なおかつ店舗の在庫整理にある程度の理解があることも必須だろう。

それだけ買い手を試す商品であり、玄人好み……といえば良いように言い過ぎだろうか。とにかく、自分の中の “鬼” に勝てる自信がある人にはオススメだ。

Report:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.

▼繰り返すが、何も商品自体が悪いわけではない。