東京では『徳島ラーメン』と言われてピンとこない人も多いようだ。濃い目のスープに甘辛く煮た豚肉と生卵が乗せられたアレ……たまに無性に食べたくなるので関東圏でも専門店が増えることを強く願う。

その『徳島ラーメン』とは全然別モノなのだが、私が「世界一うまい」と公言してはばからないカップ麺を製造しているのは徳島県のメーカーだ。その名も『徳島製粉』。どういう理由かは知らないが、徳島は相当なラーメン先進県なのだろう。

名もなきフリーライターである私が「うまい」と叫んだところで大した影響力がないことは分かっている。しかし「世界一うまい」は人生で一度しか使えない大ワザだ。その心意気を感じて「食べてみよう」と思う読者が1人でも現れることを願う次第なのである。

・中国地方では細々と

もう断言してしまうと “世界一うまいカップ麺” とは『金ちゃん飯店 焼豚ラーメン』のこと。そのレトロすぎるパッケージはあたかも昭和からタイムスリップしてきたかのようだ。

余談だが私は鳥取県出身。今は亡き祖母がかつて営んでいた八百屋の片隅にはカップ麺が3種類だけ売られており、その中のひとつが『金ちゃん飯店 焼豚ラーメン』だった。

ここで注目すべきは『金ちゃん飯店 焼豚ラーメン』の価格である。販売店によるが1個あたり250〜300円弱ほどと、カップ麺としてはけっこうお高め。しかし田舎の小さな八百屋でこれが長年販売され続けていたということは、当然ながら需要があったということになる。

『金ちゃん飯店 焼豚ラーメン』の流通に関して、現在の鳥取県では「スーパー4〜5軒に1軒ほど」の割合で販売されているといった体感だ。東京では一度もお目にかかったことがないので、販売エリアは徳島との距離が関係しているのだろうか。


・豚肉とメンマがスッゴイ

『金ちゃん飯店 焼豚ラーメン』が他のカップ麺を圧倒している点は、何といっても “調理済かやく” だ。パッケージにはあくまで「豚肉とメンマ」と表記されているため、軽はずみに「チャーシュー」呼ばわりしないよう注意したい。


カップに湯を注いだら。フタの上で調理済みかやくを温めるシステムだ。


パックを開ければ……見事なまでに真っ茶色! カップ麺に入っていたとは到底思えぬ豚肉の肉肉しさ! そしてメンマの竹竹しさよ!!! それらがタップリのおツユとともに密封されていて、粉末のスープにドッキングさせることで遂に焼豚ラーメンは完成するのだ!


・関東民の口に合うのか

始めて出会った30年前から、私は『金ちゃん飯店 焼豚ラーメン』をのべ1000回以上食している。今さら「世界一うまい」以外の感想もないので、ここは生粋の千葉育ち・当サイトのサンジュン記者に試食してもらうことにした。

ちなみにこれは鳥取の母から定期的に送ってもらっている貴重品だ。考えてみれば東京でもアンテナショップなどで買えたりするのかも? コロナがもう少し落ち着いたら行ってみようっと。


先輩、ありがたい気持ちで食べてみてください!



サンジュン「フム……味がしっかりしてるね〜。パンチはないけど、普通にウマいよ」


・ウム、正解!

「パンチがなくて普通」というサンジュン記者の感想を「そっけない」と感じる者がいたとすれば、ソイツは “『金ちゃん飯店 焼豚ラーメン』初心者” に違いあるまい。

薄汚れた中華屋で変哲のない『中華そば』を食べ、「懐かしい味」と涙した経験が誰にでもあるだろう? それだ。そんな感じのイメージをカップ麺に当てはめていただければかなり近いといえる。

『金ちゃん飯店 焼豚ラーメン』は「本物のラーメンみたい」とか「個性的な味」では決してない。あくまでも素朴なカップ麺なのだが、「普通にうまいラーメン」として世界一の実力を有しているのであって……えっ? 分かりにくい?

つまり新製品のカップ麺を食べて「うまいな」と思うことが時々あっても、何年にも渡って毎週食べたいものってほぼ皆無だろ? 『金ちゃん飯店 焼豚ラーメン』はソレなんだよ! とにかく1度……いや、3回食べてみてくれ! 話はそれからだ!

参考リンク:金ちゃん飯店 焼豚ラーメン(公式 / Amazon
Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.

▼鶏と豚と野菜の風味が効いた、優し〜いスープなのです!

▼「調理済かやく」はフタの上でも十分温まるのですが、個人的には余裕があれば個別に湯せんしていただけると嬉しいです!