ついに「GOバトルリーグ」が実装されてしまったことを受け、私の脳内にはある忌まわしい記憶が蘇ってきた。

私がかつて死ぬほどやりこんだオンラインゲーム……草木から薬を作り、クエスト消化で武器をもらい、皆でデッカイ怪物を倒すのが楽しかったあのゲーム。そこから私が引退にまで追い込まれた理由は、何を隠そう「対人バトルがメインのゲームに変化してしまったから」だ。

対人バトルなんてものは、血の気の多い人たちだけで勝手にやっていればよい。俺たちのポケモンGOはお年寄りから子供まで楽しめるゲームだったはず。それが「バトルに勝たないと入手できないポケモンがいる」とは何ごとか? こっちだって黙ってないかんね!!!

・引退しかない

格闘ゲームは早押し、パズルゲームだと瞬発力、RPGには頭脳といったふうに、多くのゲームには必須となる特殊スキルが存在している。それに対しポケモンGOに必要なのは基本的に「運と継続」だ。誰にでも始められることだけは確かだろう。

私は計算と暗記が苦手である。計算と暗記から逃げ続けた人生といっても過言ではない。だから個体値に関することや、ポケモンの弱点がどうこう、といった話にはあまり興味がない。それを無理して覚えるくらいならゲームをやる意味などないと感じている。

そういった私のハンデは、ポケモンGOをプレイするうえで致命的なものであるかと思われた。ところが……旅行が趣味である私は、多くの海外限定ポケモンを捕まえてくることで一躍アイドルとなったのだ。誰もが自分の得意分野を伸ばせる。それがポケモンGOの魅力だ。


「それならバトルをやらなければいい」という意見があるだろう。もちろん始めはそのつもりだった。しかし蓋を開けてみれば……「嘘だろ」と天を仰いだトレーナーは私だけではなかったはずである。

GOバトルリーグと同時に、バトルで勝利しなくては入手できないポケモン『ズルッグ』が実装されたのだから……。


・サギではないのか

とにかく私は怒っている。キレていると言ってもいい。何が言いたいのかというと、つまり人には向き不向きというものがある。「全ポケモンコンプリート」は全てのトレーナーが目標とするところだ。その道のりは確かに険しいが、地球上をコツコツと歩いていれば誰にでもいつかは達成できる可能性が………あった。

それがここへきて急にズルッグの登場だ。「やりたい人だけバトルをやって」という理屈はもはや通じない。交換という最終手段こそあるものの、自力だと “バトルをやらなきゃコンプリートは不可能” になったのだ。これはあまりにも無慈悲……!

もちろんズルッグ入手が誰にでも容易いものであれば、私とてこのように腹を立てたりはしない。しかし実際にバトルリーグをプレイしてみた結果、最初のうちは何も考えずとも勝利できるのだが、ランク3あたりからそうも言っていられなくなる。

ズルッグの入手条件は「ランク4に昇格したのち、ふつうリワードで4回orプレミアムリワードで2回勝利」。それを達成するには「知識と準備なしではまず無理」だと、私は身をもって実感したのだ。


当サイトのポケモンGO仲間であるならびに原田たかし両名は早々にズルッグを入手し、ズルッグの捕まえ方に関する記事まで執筆した。それどころか毎日キャッキャウフフと、楽しそうにバトルリーグをプレイしている様子だ。

彼らに教えと協力を乞えば、リーグで上位に食い込むことも可能なんじゃないかって……?


私はそんなことをやりたくない。


なぜって、イヤなもんはイヤなんだよぉぉぉ!


私はポケモンGOから引退することを決意した。大嫌いな「計算と暗記と争い」が必須になってしまった以上、もうここには居られない。そういうタイプなんだから仕方がないのだ。

先輩たち、フレンドの皆様、お世話になりました。さようなら………!


・先輩、動く

すると、そんな私を見かねた先輩のサンジュン記者が「なんとかしてやる」と私のスマホを取り上げた。頑張って貯めた「ふしぎなアメ」を湯水のごとく消費している様子だが、引退を決めた私には関係のないことだ。

さらに彼は「このパーティーで今すぐバトルをやれ」などと、パワハラまがいの圧力を私にかけてきた。渋々バトルを開始した私。すると……



ものの20分でズルッグゲットだゼ☆


・詳しくは分からん

ランク3でヒィヒィ言っていた人間が、あっさりランク4で5連勝を決められた理由は何か? ……よく分からんが、ともかく確かなのは先輩が用意してくれたパーティーが以下の3体で構成されていたこと。( ※ カッコ内は弱点)


マリルリ(弱点:くさ、どく、でんき)



チルタリス(弱点:こおり、いわ、ドラゴン、フェアリー)



レジスチル(弱点:ほのお、かくとう、じめん)


ちなみにこの3体は、どれも「めっちゃ強いマリルリ」とか「超レアなチルタリス」ではない。「私の手持ちの中で一番マシだったチルタリス」に過ぎなかったということをお伝えしておく。

先輩に言われた注意点は2つだけ。「ずっとこの3体だけでいけ」「この3体の弱点を覚えて、相性の悪いポケモンが出たら交代させろ」である。その2点を守っただけで私はランク4で圧倒的に勝利したのだ。う〜ん、嘘みたい!


・一応、理由をきいた

さすがに「全く分からん」では申し訳ないので、この3体をチョイスしてくれたサンジュン記者にその理由をきいてみた。



サンジュン「亀沢さんの手持ちのポケモンを考えた結果、この3匹になった。いずれもスーパーリーグでエース級の活躍ができるし、組み合わせとしてもこの3匹は相性がイイ。本当はデオキシス(ディフェンス)を入れたかったけど、持ってねーんだもんなー!」


……つまりマリルリ・チルタリス・レジスチルという組み合わせは、決して「全ての中で最強」とかではないにせよ「ランク4なら十分これで戦える」ということらしい。……ありがてぇ。十分じゃ。ズルッグが手に入っただけで大満足なんじゃ……。

「ワシャ最強が知りたいんじゃ!」という人は、おそらく私の100倍はバトルリーグに興味をお持ちなのだと思う。そういった方はサンジュン記者の記事を読むなどし、最強を追求していただきたい。私の例はあくまでも “バトルリーグ超初心者向け” なのだ。

この3体の中でレジスチルのみ若干入手が困難ではあるが、体感ではマリルリとチルタリスが相当使える。レジスチルに関しては特徴の似たポケモンで代用可能なはずだ。


バトル弱者の友よ……これでいけるぞ! 勝てるぞォー!!!!!


・辞めるのやめました

無事ズルッグを入手した私であるが、GOバトルリーグに対する懐疑的な感情が消えたわけではない。私がポケモンGOをプレイする意義はやはり「歩いてレアポケモンを探すこと」であり、将来的にバトルリーグの要素がさらに強くなることへは不安を感じる部分もある。

ただ、今回バトルで勝利した時の私は確かに「楽しい」と感じていた。当たり前だが人は負ければつまらないし、勝てば嬉しいのだ。生まれ変わった私がこの先 “バトルクイーン” としてその名を轟かすかどうかは分からないけれど、とりあえず明日もバトルしてみようとは思う。それだけでも大きな進歩と言えるのではないだろうか。

全国には私と同様にバトルを好まないトレーナーも多くいるはずだ。GOバトルリーグ実装でやる気を失った人が、そのまま本当に引退してしまうかもしれないことは残念だが仕方ない。だが……その前に、騙されたと思ってこの3体で挑んでみてほしい! 思ってたより楽しいから!

Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
ScreenShot:ポケモンGO (iOS)

▼たった3体の弱点すら暗記する気のなかった私

▼ロケニューポケGO部よろしくお願いします!