シウマイをビヨ〜〜〜〜〜〜〜ンと伸ばしたら恵方巻になるのか? ──そんな疑問を蹴散らすように、崎陽軒が節分限定で『シウマイ恵方まん』なる商品を東京・神奈川を中心とした店舗で数量限定発売した。価格は税込350円。

実際に買ってみたところ、サイズ的には一般的な恵方巻の半分くらいだろうか。手のひらに乗せたら、細長いスマホのようだ。では、お味の方はどうなっているのか? 頬張ってみると……


めっちゃシウマイ


──であった。それも当然で、パッケージ的なところに「シウマイのあんを包んだ」と書かれている。皮は中華まん仕様だが、中身を考えればほぼほぼシウマイと言っていいだろう。


ちなみに この『シウマイ恵方まん』、そのままでも食べられるものの、個人的には軽くレンチンするのがオススメ。辛子&酢醤油まで用意しておけば完璧だ。早い話が、シウマイと考えて食べれば間違いない。


──と、ここまで読んだ人の中には、「だったら普通にシウマイ買えばよくない?」とか、「崎陽軒の恵方巻への乗っかり方が強引すぎる」と思う人もいるかもしれない。

しかし、よく考えてほしい。プロの料理人であれば、イベントごとに新商品を考えるのはいたって普通のこと。むしろ、それを商機と考えるのは当然で、いかに自社商品のコンセプトを崩さず、なおかつ時期(イベント)にあったものを出すかが腕の見せどころと言える。

崎陽軒の恵方巻(恵方まん)を見てくれ。何もブレていない。「崎陽軒といえばシウマイ」から、一切ブレていないぞ。「ちょっとくらいブレろ」と言いたくなるほどに、崎陽軒のイメージのまんまである。それでいて、恵方巻といえばまぁギリ恵方巻……かと思う。

たしかに、恵方巻の1つと考えれば相当にクセが強い。ただ、そのクセの強いところが「SNSで話題を呼ぶんだよなぁ」と考えている気がしなくもない。おまけに、タテ約11cmと余裕で食べ切れる大きさなので、昨今問題になっているフードロス的なところもケアしているのではないだろうか? 


しかもだ。実は崎陽軒はこの恵方巻のほかに、いたってノーマルな恵方巻(口福恵方巻き)も販売しているから抜かりがない。


こちらの価格は税込730円で、通常サイズ。中身は、帆立入り酢飯、カニ風味蒲鉾の甘酢漬け、千切りタケノコ煮、ショウガ昆布あえ、玉子焼き、菜の花、鯛そぼろ。味のバランスは完璧だ。恵方巻として、クセは一切ない

つまるところ崎陽軒は、クセの強い恵方巻と王道の恵方巻を同時に販売したのである。ナックルボールしか投げられない変化球ピッチャーと、速球型の正統派ピッチャーの2枚看板で勝負している……みたいなもの。


変化球ピッチャーのナックルボールが気になって、バットを振った(商品を予約しに行った)私は、見事に崎陽軒の術中にハマったのだろう。店舗で美味そうな恵方巻の存在を知り、ついつい「口福恵方巻きも予約できますか?」と言ってしまった。崎陽軒、恐るべしである。

参考リンク:崎陽軒「シウマイ恵方まん」、「口福恵方巻き
Report:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.