夢のマイホーム。多様なライフスタイルが認められる現代、必ずしも住宅を持つことが人生の通過点ではないが、誰のものでもない「自分の家」はやはり特別な場所だ。ただし、ほとんどの人にとっては多額のローンを組み、月々の返済に汗を流す一生に一度の買い物。決して後悔はしたくない

国内最大手の住宅ローン専門金融機関アルヒ株式会社が、『ARUHI presents 本当に住みやすい街大賞2020』を発表した。同社の発表によれば、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の1都3県から、実際にアルヒの住宅ローンが利用された街をピックアップ。専門家が加わった選定委員会によって選出されたとのこと。

・審査基準

選出のポイントは「住環境」「交通利便」「教育環境」「コストパフォーマンス」「発展性」の5つ。教育施設やインフラが整って快適に住めること、通勤に便利であること、今後の発展性があること、そしてコストパフォーマンスが高いこと、が「住みやすい街」という評価だ。

どんなにいい場所でも、一般市民に手が出ないのであれば意味がない。そこで、コスパの参考として土地取引額の目安となる公示地価も調べてみた。それではランキングを見ていこう!


 

・栄えある第1位は「川口」(埼玉県)

JR京浜東北線で新宿駅まで25分、池袋駅まで20分、東京・品川・上野・横浜にも乗り換えなしでアクセス可能。駅周辺の再開発が現在進行形で進んでいて、2023年には大規模タワーマンションが竣工予定と、今後の発展性が高く評価された。

ただし、高いお金を払えば便利なところに住めるのは当たり前。同ランキングではコストパフォーマンスでも星4つ(最高が星5つ)をつけており、環境の充実度に対して、家賃や物価の相場がお得だと評価している。もし川口市に住宅を買うとして、気になる土地の価格は……

■川口市の平均公示地価(住宅地)→ 19万8900円(1平方メートル当たり)

これだけだと高いのか安いのかいまいちイメージしにくいと思うので、日本でもっとも住宅用地が高い東京都千代田区と比較。

■東京都千代田区の平均公示地価(住宅地) → 268万8600円(1平方メートル当たり)!

6畳がおよそ10平方メートルなので、人が1人寝るくらいのスペースで2700万円という「なに言っちゃってんの?」という価格になっている。これに比べれば川口なんて安い安い……ような気がしてきた!?


 

・第2位は「赤羽」(東京都北区)

複数路線が乗り入れ、利便性が高い一方で昔ながらの商店街が残り、「“NEXT吉祥寺”にふさわしい街」と高評価。“子育てするなら北区が一番!”を合言葉に掲げる北区は子育て支援にも力を入れているという。都内初の大規模団地として昭和期に造成された赤羽台団地が再生事業で生まれ変わり、今後の発展性も認められる。ただし、都内だけあって価格はなかなか。

■北区の平均公示地価(住宅地) → 49万2800円(1平方メートル当たり)


 

・第3位は「たまプラーザ」(神奈川県横浜市青葉区)

東急田園都市線で渋谷・二子玉川・大手町へダイレクトにアクセス可能。東名川崎ICが近いため、車で移動するにも便利。駅直結のショッピングエリア「たまプラーザテラス」がにぎわいを生み出し、「教育に関心の高い住民が多く、公立小学校の評判も良好」とのこと。

■青葉区の平均公示地価(住宅地) → 29万円(1平方メートル当たり)


・4位以下はこちら

ここで、4位以下を一挙に紹介すると以下の通り。

第4位「柏の葉キャンパス」(千葉県柏市)

第5位「入谷」(東京都台東区)

第6位「王子」(東京都北区)

第7位「武蔵小金井」(東京都小金井市)

第8位「小岩」(東京都江戸川区)

第9位「ひばりヶ丘」(東京都西東京市)

第10位「東雲」(東京都江東区)


・シニアになると順位が変わる

なお、シニア編のランキングでは、第1位「木場」(東京都江東区)、第2位「大泉学園」(東京都練馬区)、第3位「平塚」(神奈川県)が選出されたとのこと。子どもが大きくなると教育環境が関係なくなること、また仕事をリタイアすると職場への通勤を考えなくてよくなることから、若者世代とは求めるものが変わりそうだ。


 

いかがだろうか? ちなみに総務省統計局の調査によると日本の持ち家率は60%前後。新築などで住宅の数は毎年少しずつ増えているが、増加分の約4割を今回のランキングの対象となった1都3県で占めている。

つまり、東京を中心としたエリアは今後も人が集まり、新たな住宅が建つだろう。少しでもよい場所を探したいというのは切実な願いだと思うので、今後も情報が入り次第ご紹介したい。

ちなみに過疎化が進む筆者の地元の平均公示地価は……およそ3万円だ!! 誰か移住してこないかな?

参照元:ARUHI、国土交通省「平成31年地価公示」、総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査」
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.