時代は「平成」から「令和」へと変わった。だが、タピオカミルクティの出店ラッシュは変わるところはない。新しいお店がオープンする度に「日本初上陸」と聞くけど、一体どれだけのチェーンが日本に進出して来ているんだ。もうちょっとやそっとのことじゃ驚かないぞ! 普通の商品は飲んでみる気にもなれない。そう思っていたのだが……。

東京・原宿に期間限定オープンした、「 GOOD DAY GOOD TIME 良辰吉時 」の商品は一味違った。ナニが違うかというと……。「汚いタピオカ」という名前の飲み物が売ってるじゃないか! これは見過ごすことができない。汚いオッサン(佐藤)の私が飲んでやろうじゃないか!!

・キレイなオッサンになったはずが……

私事で恐縮だが、汚いオッサンの私は、以前よりもキレイになった自負がある。ここ数年、ポールダンスで身体を鍛え、欠損していた歯も治し、なんならこっそり日焼けサロンに行ったりしている。


昔のよりははるかにキレイになったと自負している。いや、キレイになったというよりも、多少真っ当になったというべきだろうか。これで人並みの40代になれた気はしている。


気はしているのだが……自分では気づいている。清らかさからはずっと遠い場所にたどり着いてしまったことを。この目にはすでに、何を見ても新鮮には映らず、何を聞いても魂に響くような感動は起こり得ない。ただ、いたずらに時間を重ねて、触れた物事を「経験」と呼べるほど消化しきれていないのだ。そう、ただただ時を重ねただけ、心の淀み切った存在。それが私なのだと……。


私のような人間に、キレイなタピオカを飲む資格などあろうか? ない! そんなものは無限大にない! 汚いタピオカを飲んでいればいいさ。そうして、不条理な世の中を嘆きながら歩いて行くがいい。若者よ、お前はお前の道を行け、決して手本になんかしてはいけない。今、正しいと思うことは、魂が感じる正しさだ。それを諦めずに抱き続けろ。もしもその正しさを手離したら、お前もキレイなタピオカには戻れないと心得ておけ。若者よ……。


…………さて、前置きはこれくらいにして……。


・汚いタピオカが話しかけてくる

最近原宿にオープンしたタピオカミルクティスタンドの話をします。

そのお店は、以前紹介した「Long Longer Longest」のある、CUTE CUBE HARAJUKUの目の前に、キッチンカーで出店している。


メニューを見てみると、他のお店と同様に色鮮やかな商品が並んでいて、オッサンには用のない店かと思ったら……。


メニュー右端の商品が私の心に話しかけてくる。


『おい……、お前。そこのメガネのお前……。お前が手にできる商品はココにある。わかるだろ……、俺と目が合ったじゃないか。さあ、手に取れ、お前にお誂え向けの商品、それが汚い……』


やめろーーーッ! 違う、俺は違うッ!! 前よりもずっとキレイになったんだ。もう昔の俺じゃない、ただの人間嫌いの怠惰な横着者じゃなくなったんだよ! 今ではできるぞ、「あなたの話を聞いています」風の笑顔が。今ではできるぞ、「へ~、面白そうですねえ」風の愛想笑いが。可もなく不可もないような人との接し方ができるようになったんだよ。俺に話しかけるなチキショーーーーッ!!!!


と、心のなかで叫んだはずが、手に持ってた。

汚いタピオカ(税別550円)


裏を見ると、550ドルになってた。ま、いいか。


飲む前によく振ってとのことだったので、渾身の力を込めてシェイク! この商品の誘惑を断ち切ることができなかった自分が許せない! そんな思いを込めて、容器がひしゃげるほどの力を込めて振りまくった。


ひとしきり振りまくった後に、私は雑居ビルを背にして、隠れるようにしてそれをすすった。「あ、ウマ」。そんな一言が口をついて出た。その言葉が誰に届くでもなく、ビルとビルを吹き抜ける強風に、吹き飛ばされるようにして、どこかへと消えて行ってしまった。


……汚いタピオカよ、お前、ウマいな。せめてもの餞(はなむけ)に、私は汚いタピオカと私が出会ったことを記すクソコラを作ってやることにした


竹下通りの入り口で、汚いオッサンが汚いタピオカをすするクソコラ。これが私とお前が出会った証だ。いつかまた、どこかで会おう。次こそは、キレイなオッサンになってお前をすすってやる。それまでしばしの別れ。達者でな、汚いタピオカよ……。


・今回訪問した店舗の情報

店名 GOOD DAY GOOD TIME 良辰吉時
住所 東京都渋谷区神宮前1-7-1 キュートキューブ 1F フードトラック
営業時間 11:00~
定休日 不定休

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24