あのフロイド・メイウェザーに続き、マニー・パッキャオまでがRIZINに参戦か? 2019年4月7日、RIZINの榊原CEOがパッキャオと握手を交わす画像は、瞬く間に世界中を駆け回った。だがしかし……。

4月9日の会見で明かされたのは「パッキャオの推薦選手がRIZINに参戦する」というもの。ぶっちゃけ肩透かしも良いところだが、格闘技マニアはこの件についてどう思っているのだろうか?

・格闘技マニアは語る

今回話を聞かせてくれたのは、記者の知人の格闘技マニアAさん。メイウェザーについても色々と話を聞かせてくれた人物で、試合そのものだけでなく格闘技界の大きな流れについても精通する、正真正銘の格闘技マニアである。格闘技マニアさーーーん!


──パッキャオがRIZINに参戦すると思いきや、単なる提携の話でしたね。

「メイウェザーの件があるから俺もてっきり試合するのかと思ってたけど、結局違ったな」

──ぶっちゃけ、どうなんですかね? がっかりしたファンも多いと思いますけど。

「まあ、そうだろうな。でもよく考えてくれ。こんな言い方は失礼かもしれないけど、そもそも世間が大みそか以降のRIZINに期待してたか? 今回の件でまた一気に注目度が上がったんだから、やっぱり榊原CEOは大したもんだよ」

──確かにそうですね。

「時代がいくら変わろうと、格闘技もプロレスも興行なんだよ。つまり話題を振りまいてナンボなんだよな。しかも格闘技界は事実上、アメリカのUFCの一強だからRIZINもドデカい話題を振りまいて行かなきゃいけないんってことさ」


──そういう意味では成功してますね。

「そう、パッキャオはメイウェザーと並ぶビッグネームだからな。世界中の格闘技ファンがRIZINに注目したと思うよ。しかも、メイウェザーに続いてのパッキャオだからな。“日本のRIZINは何かやらかす団体だ” って認知され始めてるんじゃない?」

──そういう意味では抜群のプロモーション効果ですね。

「そう。やっぱりさ、この業界はプロモーションも大事なんだよな。古くは伊勢丹の前でタイガー・ジェット・シンに自分を襲わせた猪木もそうだし、フジテレビを使って一気にのし上がった石井館長もそうだし。実際、上手く話題を振りまいた団体は成功してるよ」

──では、試合をしなくてもパッキャオの名前を使えただけでもRIZINの勝ちだと?

「まあ、今のところはな。しかもパッキャオも “将来的にはRIZINに上がるかも” って言ってるらしいじゃん。リップサービスだとしても、パッキャオが試合するかも? って可能性があるだけでもスゴイことなんじゃない? 今まで日本ではなかったんだし」

──確かにそうですね。

「たださ、あとは結局試合なんだよな。いくら話題を振りまいても、会場に足を運んだお客さんが満足するような試合を提供できないと結局は先細っていくんだよ。これは歴史が物語っている」

──なるほど。

「RIZINは天心と堀口が頑張ってるけど、それに続く選手が見当たらないかな。それとさ、やっぱり世界の注目を集めるにはもうちょっとサイズ(体の大きさ)が足りない気がするね。でもこればっかりは仕方ないのかなー」


──そうですね、サイズだけを追い求めるワケにはいかないでしょうし。

「そう。サイズを追い求めるとサップや曙みたいなモンスター路線になっちゃうんだよ。そうすると結局は先細るしなぁ。格闘技団体が長く続けるのは本当に難しいよ」

──確かに……。

「逆説的になるけど、だからこそ話題もブチ上げていかなきゃいけないんだよな。そういう意味で榊原CEOは本当によくやってると思うよ。平成の新間寿ってところだな。あ、令和の新間寿か」

──新間寿! それはある意味で最高の誉め言葉ですね。


ちなみに新間寿(しんま ひさし)とは、元新日本プロレス専務取締役で「過激な仕掛け人」と称された人物である。猪木の片腕として知られ、あの「猪木 – アリ戦」を実現までこぎつけたことでも有名だ。簡単に言うと、プロレス・格闘技界の「裏方のレジェンド」である。

言われてみれば、RIZINの榊原CEOも新間寿と同じくらい「過激な仕掛け」を起こし続けている……気もする。少なくともRIZINの名が再び世界を駆け巡ったことだけは間違いない。

参照元:RIZIN
執筆:P.K.サンジュン

▼動画でパッキャオについても語られている。