過去2回にわたりサマータイムの記事を執筆した筆者。経験者の目線による「サマータイムあるある」を紹介したり、欧州委員会がサマータイムの廃止を正式に提案したことを取り上げることでそれとなく反対してきたのだが、世間的にもやはり反対の声が多かったのは言うまでもないことだろう。

あまりメリットが思いつかないサマータイム問題に、今後の展開が気になっていたのは筆者だけではないと思う。そんなみんなに朗報だ! 2018年9月27日の今日、ついに2020年東京五輪・パラリンピックでのサマータイム実施は見送られると大手メデイアが報じた。

・自民党の遠藤利明氏が発表

朝日新聞によると、見送りを伝える発表は自民党の東京五輪実施本部長を務める遠藤利明氏から発表された。彼らはサマータイム導入について検討する「研究会」を作り、初の会合を開いたそうだ。

見送る理由としては、「システムの問題や世論の反応」とのこと。初会合ですぐに見送る考えを発表という時点で、この流れはもう決まっていたのではないかと思えるのは筆者だけだろうか。というか世論の反応なんてもう最初から反対が圧倒的だったような気もする。

・まだ完全に廃止ではない

しかし朝日新聞の報道を見る限りだと、どうもまだ政府はサマータイムを諦めていないようす。「低酸素社会をつくるきっかけとして進めていきたい」という記述が気になるのだ。確かに環境問題対策として本当に効果があるのならばそれは良いことだと思う。

しかし、その場合はちゃんとツッコミ所のないシミュレーションをして、有意だという見解が満場一致で出てからにしてもらいたいものだ。この手の環境関連の行政の調査というのは、例えば30年近く前の諫早湾干拓事業のときのことなどをはじめ、どうも調査結果がアヤシイ物が多い気がする。

・暑さ対策は競技時間前倒しで対処

何はともあれ筆者のようなアンチサマータイマー的には朗報だが、暑さ対策はどうするのか気になるところ。発表によると、どうやらそのあたりはこれから国際オリンピック委員会と協議して決めていくそうだ。

ところでちょっと気になるのは、彼らが組織したという「研究会」というもの。メンバーには議員だけではなく、影響があるであろう経済や生理学などに精通した外部の研究者もいるのだろうか? 素人だけで研究などできないと思うのだ。その辺も含めて公開してくれたら、彼らの決定に対する信頼も厚くなると思う。

参照元:朝日新聞
執筆:江川資具
イラスト:RocketNews24.