
ラブホテル。その裏側は多くの人にとって謎に包まれた異質な業界だ。そしてラブホテルの話になったとき、必ず話題になる都市伝説が「ラブホテルには盗撮用カメラがあるのでは?」という疑惑である。
以前の記事で「元ラブホテル従業員が語る、男性同士のカップルの入店を断る理由」というインタビューをご紹介した。今回はそのとき話を聞かせてくれた男性に、かねてからの疑惑『盗撮用カメラ』について伺ってみたのでご覧いただきたい。
・真相を知る人物
まずは今回も話を聞かせてくれたSさんの経歴をざっとご紹介しよう。日本有数の繁華街の中にあるラブホテル街で、5年以上も働いていた経歴を持つSさん。仕事はフロント業務からベッドメイクまでと幅広く、お店はエリア内で有数の繁盛店だったという。
現在はラブホテル業界から離れて仕事をしているため、完全に “ぶっちゃけられる” 立場にいる人だ。長らく都市伝説として語られてきた『盗撮用カメラ』は、本当に存在するのだろうか……? 以下がインタビュー内容となっている。
記者:「ラブホテルって、謎に包まれている業界ですよね。特に気になるのが『盗撮用カメラ』なんですが、実際のところ部屋にカメラは仕込まれているものなのでしょうか?」
「私の経験上、99.99%ないですね(キッパリ)。少なくとも経営サイドが隠しカメラを設置しているなんてことはあり得ないと思います」
記者:「そうなんですか……!」
「確かにホテル内にカメラは設置されています。ただそれは、駐車場・エントランス・エレベーターなどの共有部分で、これは防犯対策や来店客数を数えるなどの業務用に設置されているものです」
記者:「なるほど」
「よく考えて下さい。ラブホテルはあくまでビジネスです。私が勤めていたホテルは中古をリノベーションしていましたが、それでも億単位のお金が動きます。更地から新築する場合は、その数倍のお金がかかるでしょう」
記者:「ふむふむ」
「ビジネスである以上、それを回収しなくてはいけないのです。そういう意味で、経営サイドから見て一番怖いのは営業停止です。保健所や警察の指導を無視し続けると営業停止になる可能性があるのですが、隠しカメラなんて1発アウトです」
記者:「そうなんですね」
「数億円のお金を何年がかりで回収しなきゃいけないのに、盗撮用カメラで棒に振る経営者はいないと思います。だって1本のビデオが1億円で売れますか? そんなことはあり得ないでしょう」
記者:「なるほど。経営サイドが仕掛けていないことはわかりました。ですが、従業員やお客さんはどうなのでしょうか?」
「これはゼロとは言い切れません。しかし、限りなく少ないハズです。まず従業員が仕掛けるのは、かなり困難でしょう。なぜならホテルはコンピューターシステムで管理されているので、誰が何時間部屋に滞在したかなどが把握できるからです」
記者:「ハイテクなんですね」
「当然、いつもなら掃除で15分程度しか部屋にいないのに、30分になれば現場の責任者が確認します。これはサボらせないためなんですが、少なくともうちはそうでした。
しかも盗撮したビデオを売る場合、そのルートやコネクションが作れるのでしょうか? そう考えると従業員がカメラを設置するのはかなりハードルが高いと言わざるを得ません」
記者:「わかりました。ではお客さんはどうでしょう?」
「私がラブホテルで働いていた5年間で、隠しカメラを発見したことは1度もありませんでした。ただ、一番仕掛けやすいのはお客さんでしょうね。部屋の中で何をしているのかは、こちらではわかりません。しかも休憩でも3時間、宿泊ならそれ以上の時間があるわけですから」
記者:「ふむふむ」
「ただその可能性もかなり薄いです。ベッドメイクを始めとする従業員は、当然ながら部屋を熟知していますから。何かしら違和感があれば、気付くハズです。しかも1日1回の掃除ではなく、多いときは5回も6回も同じ部屋を掃除します。そう考えると難易度はかなり高い気がします」
記者:「なるほど。ではいわゆる “盗撮もの” ってのはガチじゃないんですね」
「そうだと思います。うちのホテルは、数えきれないほど撮影でもご利用いただいていました。その場合は必ず事前に確認が来ますし、飛び込みってことはないと思います。あちらもビジネスである以上、ちゃんと手順を踏んでいますよね。
あ、ちなみにですが、隠しカメラを発見したことはありませんが、注射器は何度か見つけましたよ。まあ、何のための注射器かはわかりませんけどね……」
──とのことであった。
どうやらSさんいわく、ラブホテルに隠しカメラが設置されている可能性は限りなく低いらしい。内容にも説得力があり、話を聞いた限り隠しカメラの存在は都市伝説といっていいだろう。貴重な話を聞かせてくれたSさんに感謝申し上げたい。
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]
P.K.サンジュン



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