もしもネコに「あなたにとって人間とは?」と聞くことができたら、一体どんな答えが返ってくるだろう? 怖い、相棒、ごはん係、踏み台、ペット……と色々な意見が想像できるが、きっと “大切な存在” と答えてくれるネコさんだっているはず!
そう。 “自分勝手な生き物” と言われることも多いネコだけど、こちらが大切に扱えば、ちゃ~んと応えてくれるのだ。その証拠にこの度、愛情を注がれたネコは、もっと健康になるということがある調査にて明らかになったというではないか!!
・シェルターのネコを2つのグループに分けた
今回の調査結果が発表されたのは、ジャーナル『Preventive Veterinary Medicine(予防獣医学)』の2015年10月号。クイーンズランド大学のクライブ・J.C・フィリップス教授らが、シェルターで保護されているネコ96匹を2つのグループに分けて、人間が接する態度を変えることでどのような違いが見られるか調査を実施したのだ。
チームA(47匹)は10日間にわたって1日4回各10分間、人間に撫でられたり、遊んでもらったり、グルーミングしてもらったネコたち。一方チームB(49匹)は、構われなかったネコたち。チームA のネコが構われている間、チームB のネコのケージの前には、人間が目を合わせない状態で立っていたという。
・人に構ってもらったネコは、風邪に強くなる?
そして10日後、2つのチームに明らかな違いが現れたようだ。チームA のネコは、満足感が増し、不安感やイライラが減少。その上、液性免疫の主体となる骨髄細胞が分泌するタンパク質 “免疫グロブリンA” 分泌の増加、ウイルス数の低下などと、健康面でも良い影響が見られたというのである。
一方のチームB のネコは逆で、精神的にも充足度が低く、健康状態も悪くなったのだとか。特に鼻水、くしゃみ、鼻づまり、喉の痛みなどの “風邪の症状” ではその差が顕著で、チームB は49匹中17匹が症状の悪化を見せたのに対し、チームA はゼロだったという。
この結果から、ネコは充足感を得ることで風邪に対する抗体が活発になるのでは、と調査チームは見ているようだ。
・別の調査でも、同様の結果が
また2014年6月にも、似たような調査が行われている。これはシェルターにやって来たばかりのネコを、最初の10日間で「人間に撫でられ続けたチーム」と「全く撫でられなかったチーム」に分け、違いが生じるか調べたのだ。すると「撫でられなかったチーム」は、他チームに比べて、2.4倍も “風邪の症状” の割合が高かったことが判明したのだとか。
その上「撫でられたチーム」は、抜け毛や感染症も減少し、当初は人間に触られるのを嫌っていたネコも、撫でられ始めて6日目には落ち着きを見せたとの記録が残されている。
・人間の扱いが、ネコの健康に大きな影響を与える!
そんな短期間でも結果に差が出るのかとちょっとビックリしてしまうが、前述のフィリップス教授は、「人に飼われているネコの健康状態は、人間の接し方で大きな違いが出てくることが分かった」と話しているのだった。
ネコの健康は、私たちが思っているよりもずっと人間の態度に左右されているようだ。気を引き締めたい。
参照元:Science Direct、SCIENCE IS WICKED、Maddie’s Fund[1][2](英語)Weblio
執筆:小千谷サチ
Photo:Rocketnews24.