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世界中が頭を悩ませるシリアの難民問題。ヨーロッパを始め、世界中の国で対応や支援の方法が分かれている。ここ日本は「難民鎖国」と評され、国内外からもっと難民を受け入れべきではないかとの声も上がっているようだ。

では渦中にいる難民の人々は、一体どのような気持ちで過ごしているのだろう? そこで今回は海外サイト Reddit に寄せられた「僕はドイツにやって来たシリア人難民です。質問を受け付けるので、何でも聞いて下さい」という投稿をご紹介したい。2015年1月にドイツにやってきたという18才の彼は、なぜシリアを脱したのか? そして今どんな生活を送っているのか?……質疑応答37選を通して見ていこう。

なお、この投稿は2015年9月中旬のものなので、現在の情勢とは違った部分もあるかもしれない。

Q1:シリアのどこの地域から避難してきたんですか?
A1:シリア北東部、トルコ国境の都市カーミシュリーです。他の地域よりは比較的安全ですが、食べ物、水、電気などの住環境はあまりよくありませんでした。

Q2:もしもシリアに留まっていたら、今頃どうなっていたと思いますか?
A2:どこかの戦闘部隊に入るように勧誘されていたか、誘拐されていたでしょう。

Q3:では過激派組織 ISIS に強制的に入団させられる可能性もあったのですか?
A3: ISIS がコントロールしている土地だったら、そうですね。彼らのルールに従わなければならないからです。強制ではありませんが、家族の生活を支えるために自分から入団する人もいるんです。

Q4:どこの側にも立たない、 “中立的” な立場ではいられないのですか?
A4:中立的? 私がいた場所では、誰も “中立的” でなんていられません。どこかの側に付かないと、とても難しい立場に立たされることになります。

Q5:ドイツにはどのような方法でやって来たんですか?
A5:私の旅は、他の人に比べるとずっと安全でした。トルコからドイツに飛行機でやってきて、空港で難民申請を行いました。そこで居住許可を受け、今はドイツ語を学んでいます。

Q6:具体的な方法を教えてもらえますか?
A6:まずイタリアの偽の ID カードを手に入れ、イタリア訛りの英語を勉強し、最高級の洋服とオシャレな髪型でドイツ行きの航空チケットを買ったんです。

Q7:ヨーロッパにやってくる方法をどうやって知ったんですか?
A7:密航業者に頼みました。業者を見つけるのは簡単なんです。トルコの首都イスタンブールに行き、ヨーロッパへの行き方を知っている人はいるかと適当に尋ねると、プロセスを一つ一つ教えてくれる人物が現れるんです。気がつけばドイツに着いていた……といった感じです。

Q8:トルコは、あなたにとって危険な場所だったんですか?
A8:まず私はトルコに不法入国したのですが、入国した途端にトルコ兵に叩きのめされました。3日間拘束され、それからシリアに戻されたんです。1週間後、私は密輸入者に金を払ってトルコ兵を買収し、トルコに再度入国することができました。

トルコ兵は、私を近くの警察署に連れて行き、ID カードを発行してくれました。けれどもその ID カードでは、働くことも部屋を借りることもできず、その町の路上での滞在が許されただけでした。

国境の難民キャンプは、家族やシングルマザーが優先されたので、独り身の私は入ることが出来ませんでした。眠る場所も無く、働くこともできず、学校にも行けず、路上にいるだけ。そこでヨーロッパに渡る決心をしたんです。

Q9:ドイツのどこに住んでいるのですか? ドイツの文化をどう思いますか?
A9:難民申請が通るまでは、ザールラント州に住んでいました。ドイツは良い国ですね。人々の真面目さやビール、田園地方に広がる美しい風景が好きです。この国に恩返しできるように頑張りたいと思います。

Q10:なぜドイツを選んだのですか?
A10:特にドイツを目指していたわけではありません。成り行きですね。

Q11:あなたの家族で、まだ危険な地域で暮らしている人はいますか?
A11:私の父と姉は、比較的安全な地域に暮らしています。水も食べ物もあり、電気もある程度は通っています。なので特に緊急で国を脱出する必要はないようです。父は60才を超えているので、どこかの戦闘部隊に入るよう強制されることはありません。

……さらなる質疑応答は、次ページ(その2)へ!

参照元:Reddit(英語)
執筆:小千谷サチ
Photo:Wikimedia Commons