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私(佐藤)は以前から思っていることがある。有名ラーメン店は気軽に入りづらい、値段も高い。ラーメン・中華そばは庶民の食べ物だったはずなのに、いつの間にかブランド化が進み、食べるためにさまざまな努力を強いているような気がしてならないのだ。値段をはじめ、オーダーの仕方が難しかったり、店によっては私語厳禁の雰囲気が漂っていたり……。

・もっと気軽に食べたいのに!

もっと身近に感じたい! もっと気軽に食べたい!! その欲求を叶えてくれるのは、新しいお店ではなく昔馴染みのお店だ。東京・千歳船橋の「支那そばや祥兒郎(しょうじろう)」も、そんなお店のひとつ。カッコつけたラーメン店はこのお店を見習うべきだ。570円で震えるほど美味しい支那そばを食べることができるぞ。

・歴史を感じさせる店構え

お店は小田急小田原線の千歳船橋駅から徒歩約5分のところにある。比較的閑静な住宅街にあり、土地勘がなければ本当にこんなところにラーメン屋があるのかな? と思ってしまうはず。しかもお店の外観は相当年季が入っており、営業しているかさえも不安になるかも。安心して欲しい、お店の外観は培った歴史の裏打ちだ。

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・難しい食べ物だったか?

さて、少し話はそれるが、私はここのところ、ラーメンや中華そばの類を食べていなかった。というのも、冒頭につづったようにラーメン、並びに、ラーメン店が遠い存在になりつつようにあると感じられたからだ。今に始まったことではないのだが、なんだか難しい食べ物になったなと思わざるを得ないのだ。気取っているというか、格好をつけているというか。そんなに難しい食べ物だっただろうか?

・親しみあふれる店内

その点、このお店は外観からも店内の雰囲気からも、親しみがあふれている。お店はカウンターのみ。店奥には本棚があり、そこになぜか岩谷テンホー先生の『みこすり半劇場』が置いてあったり、本棚の前にはフェルナンデスのエレキベースとグレコのエレキギターがあったり。初めて訪れたのに、なんだか昔から知っているお店に来たみたいだ。

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・570円で至極の一杯

何よりももっとも客に親近感をわかせているのが、支那そばだ。570円という価格で、客を癒す至極の一杯を提供しているのである。私は久しくラーメンを食べて身震いするようなことはなかった。一口スープをすすると、優しい魚介の出汁としょう油の味が心身に染み渡る。ちぢれ麺がスープと良く絡んで、箸をつけたら止めることができない勢いで食べてしまうのだ。

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・味で語りかける

これだよ、この歩み寄ってくるような味。語りかけてくるような味。お店の大将は見るからに無口でムダなことを言わない職人。しかし出される支那そばは、声なき声で身体に語りかけているのだ。雰囲気で客を緊張させたり、こだわりという名の売り文句を押し付けてくるようなことはない。静かな声で語っているよ。その語り口の快いことと言ったらない。ああ、こんな店が長く愛されることを切に願う。

・今回訪問した店舗の情報

店名 支那そばや祥兒郎(しょうじろう)
住所 東京都世田谷区船橋1-7-1
営業時間 11:30~22:00

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

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