breaking bad krazy 8

温厚で真っ直ぐな人生を歩んできた化学教師ウォルター・ホワイトが、家族のために一攫千金を狙って、高純度ドラッグ “ブルーメス” を精製する異色作『ブレイキング・バッド』。

先日、ウォルターが初めて殺害したエミリオ・コヤマについて記事を書いたが、個人的には、ウォルターが2番目に始末せざるを得なかったクエイジー・エイトの方が強く印象に残っている。彼に手をかけるまでのウォルターの葛藤とドラマが、素晴らしく描写されていたからだ。

そこで今回は、ウォルターに監禁されたうえ殺害されてしまったクレイジー・エイトを演じたマックス・アルシニエガを取り上げてみたい。

・監禁シーンでは9時間もポールに拘束されっ放しだった!

通称クレイジー・エイトことドミンゴ・モリーナはエミリオのいとこに当たり、ウォルターの相棒ジェシーが、以前に手を組んでいたドラッグディーラーだ。

ウォルターに銃を突き付け “ブルーメス” のレシピを聞き出そうとしたクレイジー・エイトは、ウォルターが作り出したホスフィンガスで被毒し意識を失う。その後、ジェシー宅の地下室に、自転車のロックでポールに首を拘束された状態で監禁されてしまうのだ。

そのシーンでは、現実感を追求したマックス自らが、撮影の間ずっとポールに拘束するよう監督に頼んだのだとか。すると製作スタッフが、一体マックスが何時間耐えられるか賭けをすることに。結果的に彼は9時間も耐え、拘束の辛さをリアルに表現することができたと語っている。

・「一番最悪な死に方をしたキャラ」の第7位にランクイン!!

何日も地下室に拘束された挙句、殺すか殺さざるべきか散々悩んだウォルターによって、自転車のロックで首を絞められて帰らぬ人となったクレイジー・エイト。そんな彼の壮絶な死に方は、「一番最悪な死に方をしたキャラはどれ?」というファン投票で、7位にランクイン!! 1位~10位まで結果が出ているので、以下にまとめてみた。

1位:ノー・ドーズ
キレ方が超ハンパないギャングのトゥコに、自動車解体所でボコボコにされて撲殺される。
2位:ゴンゾ
ノー・ドーズの相棒で、自動車解体所で上から落ちてきた車に腕を挟まれて死亡。
3位:コンボ
ジェシーのドラッグディーラー仲間。縄張り争いに巻き込まれて、10歳の少年に腹を打たれて出血死。
4位:ジェーン
ジェシーの元恋人。ヘロインの打ち過ぎで寝ている間に嘔吐し、喉に嘔吐物を詰まらせてゲロ死。
5位:トゥコ
ウォルターの義弟で麻薬取締官ハンクに追い詰められ、銃撃戦の結果、額の真ん中を撃ち抜かれる。
6位:エミリオ
ウォルターが作り出したホスフィンガスで被毒し死亡。しかも、ジェシーによってフッ化水素酸で死体をドロドロに溶かされてしまう。
7位:クレイジー・エイト
地下室に監禁されたうえ、ウォルターによって自転車のロックで絞殺される。
8位:スプージ
ジェシーの相棒スキニー・ピートからブルーメスを奪ったジャンキー。ヤクでラリったジャンキーの妻に、ATMマシーンで頭を潰されて即死。
9位:殺人ブラザーズのマルコ&レオネル
マルコはハンクによって頭をブチ抜かれて死亡し、レオネルはガスの手下でフィクサーのマイクによって、病院で毒を注射されて死亡。
10位:トルトゥーガ
麻薬取締局の情報提供者トルトゥーガは、殺人ブラザーズによって首を切られ亀の甲羅に生首を載せられてしまう。そして生首を載せた亀が爆発し、麻薬取締官数人が犠牲となる。

・マックス・アルシニエガの名前が他の役名に使用される

後にウォルターが手を組む実業家でマフィアのボス、ガス・フリングには、かつて表向きのビジネスであるフライドチキン店と裏のドラッグビジネスを築いたパートナー、マックス・アルシニエガがいた。二人はどうやら恋人同士だったようだが、そんなマックスの名前は、クレイジー・エイトを演じたマックス・アルシニエガにちなんで名付けられている。

ジェシーの恋人でゲロ死したジェーン・マーゴリスの名字は、“ベル鳴らしのおじいちゃん” こと、ヘクター・サラマンカ役を演じたマーク・マーゴリスに敬意を表して命名されたと以前書いたことがある。本作では、こういった名前で遊び心を演出しているところが、心憎いなと思う。

・パイロット版のみの出演が、さらに2話追加に

アメリカのドラマ業界は、パイロット版と呼ばれる試作品をまず製作して、テレビ放送局がゴーサインを出せばシリーズ化される仕組みとなっている。もともとクレイジー・エイトは、パイロット版にしか登場しない予定だったという。

だがシリーズ化が決定する前、パイロット版のコピーを持っていたジェシー役のアーロン・ポールが、自宅でパイロット版の試写会を開催。試写会に出向いたマックスはアーロンとすっかり仲良くなり、クレイジーエイトの出演回数を増やすべきだと話していたそう。その後、本作はAMC局によってシリーズ化が決定し、クレイジーエイトの出演がさらに2話追加されることになったのだ。

先日、『ブレイキング・バッド』の出演俳優多数が、人気SFドラマ『X-ファイル』出身であることを書いた。今まで数多くの海外ドラマを見てきたが、脇役でも話題作で鮮烈なイメージを残した俳優は、後に大作や話題作に起用されることが多いように思う。

よって、傑作『ブレイキング・バッド』で忘れがたい印象を与えたマックスも、これから俳優として大きく羽ばたいていきそうな予感がする。

参照元:YouTube、AMC[1][2]Breaking Bad Wiki(英語)
執筆:Nekolas
イラスト: マミヤ狂四郎

▼『ブレイキング・バッド』の殺害シーンを集めた動画集。クレイジーエイトが息絶えるシーンもあるぞ!

▼マックスのインタビュー動画はこちら

▼『ブレイキング・バッド』シーズン1の予告編はこちら

▼ぬりえもあるぞ!
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