Breaking Bad spooge

『ブレイキング・バッド』の出演俳優の素顔に迫りだしてしばらく経つが、興味深い背景を持つ人や意外なエピソードがあったりと、様々な発見があった。そんななかでも、リサーチするにあたって一番驚きだったのが、ATMマシーンで潰されて無残な死を遂げたスプージ役のデヴィッド・ユリーについてだ。

シリーズへの出演はたった2話だったが、彼の経歴があまりにもオモシロいので紹介したい。なんと、日本の大学に留学していた彼は日本語がペラペラで、アメリカから島根県に養子としてもらわれてきた “ケン・タナカ” という架空のキャラクターを作って、YouTubeに動画を投稿しているのだ!

・『ブレイキング・バッド』に日本に深いゆかりがある俳優が!

日本語が話せたり、日本に深いゆかりがあるハリウッド俳優やセレブはそんなにいない。パっと思い浮かぶところでは、神奈川県の高校に短期留学経験があって少し日本語が話せるロックシンガーのジョン・メイヤーと、過去に大阪でサラリーマンをしていた映画『ファイト・クラブ』の主演俳優エドワード・ノートン。そしてメガデスの元メンバーで、日本好きが高じて日本でタレントになってしまったマーティー・フリードマンぐらいだろうか。

なので、“あの人の素顔に迫るシリーズ” のため調査を進めるうちに、デヴィッドが日本に深い関わりを持つことが分かって嬉しい驚きだった。

・明石家さんまの番組に出演し漫画150冊を翻訳!!

東京の大学に留学していた彼は流暢な日本語を話し、明石家さんまの『明石家多国籍軍』にゲスト出演したこともある。また優れた語学力を活かして、『バジリスク 〜甲賀忍法帖~』をはじめとする150冊もの漫画を英語へ翻訳しているのだ。

翻訳のプロとして活躍する彼は、2001年に日本からロサンゼルスへと拠点を移し、スタンダップコメディアンのキャリアをスタートさせ、コメディドラマ『マルコム in the Middle』で俳優デビュー。ちなみに、このドラマには『ブレイキング・バッド』の主役ウォルターを演じたブライアン・クランストンが、パパ役で主演している。

・嫌な奴を演じるのは楽しい!

『ブレイキング・バッド』では、ウォルターの相棒ジェシーの仲間スキニー・ピートからドラッグ “ブルーメス” を奪うジャンキー役で出演していたデヴィッド。ヤクでラリった妻にATMマシーンで潰されるという壮絶な最後を遂げる役だったが、彼の俳優歴を観ると、嫌な奴やダラしがない男を演じることが多い。

だが、そんな役を演じるのは楽しいと言う彼は、「ATMマシーンで殺されるとは、クリエイティブな死に方だと思う」と語っている。

・島根県に養子としてもらわれてきたアメリカ人のキャラをデッチ上げる

そして、デヴィッドについて語るうえで外せないのは、彼が作り出した “ケン・タナカ” という架空の人物。「島根県に養子としてもらわれてきたアメリカ人で、本当の両親を探している」というキャラを作り上げ、YouTubeに動画を投稿しているのだ。日本語訛りの英語まで喋る彼の念の入れように、彼の作り話を真に受けるネットユーザーも多くいたようだ。

なかには「俳優のデヴィッド・ユリーにソックリだから、両親を探す手掛かりになるのでは?」と指摘するユーザーも現れ、ケンがデヴィッドと初対面する動画まで制作しているのである。

動画では、お互いの会話でデヴィッドも養子に出されて誕生日が同じである事実を知った二人が、生き別れの双子の兄弟であることを発見する展開に。彼のユーモアのセンスに、筆者も一杯食わされてしまうところだった。

・イラストレーターとして個展まで開催

さらに、イラストまで描いてしまうデヴィッドは、架空キャラのケン・タナカの名前で、ロサンゼルスのアートギャラリーにて個展を開催。ヘタウマでナカナカ味のあるアートを披露している。

日本語がペラペラで俳優という職業を活かして、自分をパロった動画を制作してしまうデヴィッドは、かなりオモシロい俳優ではないかと思う。日本を離れてからは日本映画などに出る機会はなかったようだが、これから日本の作品でもお目にかかれることを願いたい。

参照元:YouTubeIMDbAMCArtSlantJUSTIFIED(英語)
執筆:Nekolas
イラスト:マミヤ狂四郎

▼ATMマシーンでスプージが殺されるシーンの動画はこちら

▼デヴィッドとケンが再会するデッチ上げ動画だ!

▼ケン・タナカの個展の宣伝動画

▼『ブレイキング・バッド』シーズン1の予告編

▼ぬりえもあるぞ!
Breaking Bad spoogenurie