Breaking Bad jane1

善と悪の境界線は時に線引きが難しく、相手の動機によっては責めがたい心境に駆られることだってある。では、家族のために財産を残そうと、化学教師としての知識を活かしてスーパードラッグを生み出したウォルター・ホワイトの場合はどうだろうか? 

このシリーズの読者ならすでにお分かりだと思うが、海外ドラマ『ブレイキング・バッド』のことである。そんな家族想いの真面目で気弱だった彼が、徹底的に “悪” への境界線に踏み込むきっかけとなった女性がいる。それが、ウォルターの相棒ジェシーの恋人ジェーンだ。

そこで今回は、美しい容姿からは想像できないドラッグ依存症の問題を抱え、ウォルターの決断によって帰らぬ人となったジェーン・マーゴリス役を演じた、クリステン・リッターの素顔に迫ってみたい!

・ロックバンドでミュージシャンとして歌声を披露

俳優のなかにはバンドに在籍したり、ミュージシャンとしてアルバムデビューしている人がたくさんいる。有名どころではキアヌ・リーブスやブルース・ウィルスだが、クリステンもその一人だ。

彼女は、「Ex ViVian」というバンドでボーカルを担当しているのだが、個人的にメチャクチャ筆者の好きなタイプの音楽だ。現在、海外で人気を博しているラナ・デル・レイやロードとった女性シンガーを思わせる、物憂げだがメロディがしっかりしたナンバーで繊細なボーカルを披露。彼女の曲は、自身の出演映画『 The Last International Playboy』にも使用されている。

・ファッションデザイナーとしても活躍

また、ファッションデザイナーとしての顔も持つクリステンは、ファッションデザイナーのコリー・リン・カーターと共同でワンピースをデザインしたり、ファッションブランド「Alice and Olivia」とコラボして、靴のデザインも手掛けている。

美人なうえ、バンドのボーカルでファッションデザインまでこなしてしまうとは、女子が憧れてしまうのも納得のカッコいい女優さんだ。

・ウォルターが悪の道に染まるきっかけとなった女性

では、ジェーン役にまつわるエピソードをいくつか紹介したい。ジェーンが登場するまでにすでに人を殺していたウォルターだが、ジェーンの死は、彼が今まで手にかけた死とは訳が違う。彼女はジェシーにとって大切な恋人だったが、ウォルターの裏ビジネスをバラすと脅迫し、ウォルターにとって邪魔な存在となる。

そして、ジェーンがドラッグ・オーバードースしかけて嘔吐物をのどに詰まらせた場に居合わせたウォルターは、一瞬ためらうものの、保身のために彼女を救うことを選らばなかったのだ。

こうして、助けようと思えば救うことができた彼女を無残にも死なせた事実が、ウォルターの心に大きな影を落とし、ついに悪への境界線を越えてしまうのである。

・オリジナルのストーリー展開はちょっと違った!

シリーズ中で、ウォルターが鬼畜へと変貌を遂げる重要なシーンだが、元々は、寝ているジェーンの腕にウォルターがヘロインを打ち込む設定だったそうだ。だが後ほど、放送バージョーンへとシナリオが書き換えられたわけだが、オリジナルの台本では、ウォルターのモラルや道徳心に対する葛藤が表現しきれなかったのでは、と思う。

・ジェーンの名字はヘクター・サラマンカ役の俳優から拝借

そしてジェーンの名字 “マーゴリス” は、ベル鳴らしのおじいちゃんとしてお馴じみ、ヘクター・サラマンカ役を演じたマーク・マーゴリスに敬意を表して命名されたとのこと。こういった、ちょっとした遊び心が作品に織り込まれているのが粋だなあと感じてしまう。

・ジェーンは『パルプ・フィクション』のミアがモデル!?

さて、ジェーンのルックスを見て、誰かを連想した人はいないだろうか? 前髪をパッツン切った黒髪のボブ、赤い唇にスラリとした長身……。そう! ジェーンは、クエンティン・タランティーノ監督の大傑作『パルプ・フィクション』で、ユマ・サーマンが演じたミア・ウォレスがモデルでは? との声も挙がっている。

容姿が酷使しているだけでなく、ドラッグ・オーバードースしてしまう設定も同じだ。ちなみに筆者は、クリエイターのヴィンス・ギリガンは、タランティーノ監督のファンなのではないかと思うことがある。

というのも、ウォルターの名字はホワイトで、ジェシーはピンクマン、そしてウォルターの妻スカイラーは青。どちらも色を表す名前が付けられている点が、嫌でも登場人物を色で呼んでいたタランティーノ監督作『レザボア・ドックス』を連想してしまうからだ。

・人気ロックバンドの曲もキャラに反映されている!?

またジェーンは、米人気ロックバンド、Jane’s Addiciton(ジェーンの中毒)の代表曲「Jane Says」で歌われるジェーンを彷彿とさせるとも言われている。もしかしたらジェーンのキャラクターを練り上げる際、ギリガンの頭には、ミアのイメージやJane’s Addcitonの曲が駆け巡っていたのかもしれない。

『ブレイキング・バッド』への出演終了後も、本作と強い結びつきを感じていたというクリステン。彼女は最新作ドラマ『Marvel’s A.K.A. Jessica Jones』で、ドラッグ依存症の役とは間逆のスーパーヒーローを演じることが決定している。

参照元:IMDbBreaking Bad WikiDesign&Trend(英語)
執筆:Nekolas
イラスト: マミヤ狂四郎

▼オーバードースしかけたジェーンを助けずに、ウォルターが見殺しにしてしまうシーン

▼クリステンのバンド「Ex Vivian」のプロモーションビデオ

▼『ブレイキング・バッド』シーズン1の予告編

▼『パルプ・フィクション』の予告編

▼Jane’s Addicitonの「Jane Says」のプロモーションビデオ

▼ぬりえもあるぞ
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