Breaking Bad Lydia

ドラッグ “ブルーメス” の精製に麻薬ビジネス、ギャング&マフィアという裏世界が描かれる海外ドラマ『ブレイキング・バッド』では、やはり登場人物のほとんどを占めるのは男性だ。そんななかでビシっとスーツでキメて、マフィアにブルーメスの原料となるメチルアミンを横流しして金儲けしていた美女リディアは、傑出した存在感を放っていた。

そこで、今回の「あの人の素顔に迫るシリーズ」では、少し臆病ながらも強欲な女リディア・ロダルテ=クエールを演じたローラ・フレイザーに注目してみたい。

・保身と金のために動く強欲かつ計算高い女

魔性の女というと、読者の皆さんはどんな女性を想像するだろうか? 自分の思い通りに男を操り、欲しい物を手にする “男転がしのウマい女” といったところかもしれない。

シリーズ最終章のシーズン5から登場するリディアは、常に保身と金のために動く強欲かつ計算高い女だ。シーズン4で死んだマフィアのボス、ガス・フリングにドラッグ原料を横流ししていた彼女は、ガスとのつながりをもみ消すために、“フィクサー” マイクにガスの手下11人の暗殺を依頼する。

・リディアの指示で殺された男は計23人!!

マイクに殺人を依頼するリディアは、見るからにナーバスになって臆病な面を覗かせてはいる。だが、美人であるがゆえに今まで男を操ってきた経験が、彼女を大胆かつ冷酷な行動に駆り立てているのではと思わせる “魔性の女臭” をプンプン漂わせている。

そんなリディアの指示で殺された男の数は、たった1シーズンで23人にも上るのである!! シリーズを通して殺害されたのが計270人であることを思えば、リディアが関わった殺しは実に1割近くにもなる。まさに彼女は、男を操って欲しい物を手に入れる魔性の女と呼ぶにふさわしい、“アブない女” と言ってよいだろう。

・リディアにメス・デイモンもメロメロ!?

以前、シーズン5から登場し、主役ウォルターの相棒ジェシーの代わりに、ウォルターの右腕的存在となるトッド・アルキストを紹介した。

ウォルターの元でブルーメスの精製を習得するトッドは、リディアともビジネスで関わるのだが、明らかに彼女に惚れている様子。どう見てもリディアはトッドよりも10歳は年上だが、彼女を見つめる彼の瞳には恋心が見て取れる。そしてローラは、トッドの恋心について以下のような分析をしているのだ。

「ビジネスの場で相手に色目を使うなんて、トッドの気持ち悪い一面でもあるわね。二人の関係についてよく考えたけど、リディアみたいな女を好きになるなんて彼は相当ヤバいわ。リディアに恋心まで利用されて操られて、彼が可哀想だったわ」

と、冷酷なトッドの性格的問題だけでなく、女の趣味も悪いとコキ下ろしている。

・完璧なアメリカ訛りの英語をマスター!

リディアを演じたローラ本人についてだが、スコットランド出身の彼女は『ブレイキング・バッド』に出演する以前は、イギリスを拠点に活動していた。本作でアメリカ人のリディアを演じたローラは、役作りのために完璧なアメリカ訛りの英語をマスター! その完璧ぶりに、共演者はローラがアメリカ人でないとは全く思わなかったそうだ。

ちなみに、イギリス訛りとアメリカ訛りの英語は、とんでもなく発音が違う。余談になるが、なぜか英国俳優がアメリカ訛りの英語を習得するのが上手いのに対し、米国俳優で完璧なイギリス訛りを喋れる人がほぼいないのが不思議である。

・リディアのような強い女性を演じることが多い

そして今までの出演作でも、リディアのような強い女性を演じる機会が多かったというローラ。現代アメリカ社会が抱える問題を鋭くえぐった社会派サスペンスドラマ『HOMELAND』で、リディアは帰還兵ニコラス・ブロディの妻ジェシカ役に配役されていた。

後に他の女優に交代となったが、実はテロリストでPSTD(心的外傷後ストレス障害.)を抱えるニコラスを気丈に支えながらも、激しく葛藤で揺れるという強く複雑な女性の役どころだった。

実際に死ぬ場面は登場しないが、ウォルターによって毒物リシンを盛られたリディアは、彼によって殺された最後の人物だ。また、ウォルターが息絶える前に漏らした最後の言葉も、「リディア」だった。

ウォルターが、一番最初に殺したドラッグディーラーのエミリオ・コヤマもガスで毒殺されてるのだが、彼の “最初と最後の殺し” が、何かしらの形で反映されているのかもしれない。

参照元:IMDbBreaking Bad WikiAMC(英語)
執筆:Nekolas
イラスト: マミヤ狂四郎

▼リディアとトッドの出演シーン。トッドの瞳には恋心が見て取れるぞ!

▼リディアがウォルターに毒物リシンを盛られるシーン

▼『ブレイキング・バッド』シーズン1の予告編

▼ぬりえもあるぞ!
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