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みなさんはヤクザにボコられたことがあるだろうか? 私(P.K.サンジュン)は……無い。きっと多くの人にとってヤクザとは、出来れば避けて通りたい存在であるハズだ。だがしかし……。

今から10年以上前、親友がヤクザにボコられた。ボッコボコにされた。後述するが明らかに親友に非があるので、このコラムはヤクザを非難するものではない。この話は「人はこんなにスゴイ切り返しが出来るのか」と私が感動したエピソードである。

・本当にあった話

親友の名前を仮にアキトシくんとしよう。広島県出身の彼とは19歳からの付き合いで、その事件があったときは知り合って5~6年が過ぎていた。タメで2年ほど同じ下宿に住んでいたこともあり、私は彼を親友だと、そしてきっと彼もそう思っていてくれたと思う。

ちょっと話はそれるが、男性に問いたい。「ボコられたことはありますか?」と。お恥ずかしい話、私は数回ある。そういう人ならわかると思うが、やられてからの数日は、自分が惨めで情けなくて虚しくて、心にぽっかりと穴が開いたような気持ちになる。

できれば「そっとしておいて欲しい」というのが正直なところで、ましてや他人を気遣う余裕などない。だが、ヤクザにボコられた後のアキトシは違った。こちらが感動してしまう切り返しを見せてくれたのだ。

・ヤクザに殴りかかる

事件当日、アキトシは彼が慕う先輩と飲み屋で派手に飲んでいた。この先輩は男気のあるカッコいい人なのだが、イケイケ中のイケイケでもあった。泥酔した2人が店を出ると、エレベーターホールに明らかに雰囲気の違う2人組が……そう、ヤクザである。

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普通なら酔いも醒めてしまうところだが、先輩は違った。アキトシに「行け」とまさかの特攻指令を出したのだ。普段なら「またまた~」と言うところアキトシも酔っていたのだろう、「オリャァァァアアアア!」とヤクザに殴りかかってしまったらしい。どう考えてもこちらが悪い。

結果は冒頭でもお伝えした通り、2人ともボコボコもボコボコ、ボッコボコに返り討ちにされてしまった。翌日、私は別の友達から「アキトシがヤクザにボコられたらしいぞ」との連絡を受け、ちょっと迷ったが電話を入れることに。「そっとしておいて欲しいかな?」とも思ったが、単純に彼のことが心配だったのだ。

・予想だにしなかったセリフ

電話に出たアキトシ。やはり声に元気がない。「聞いたぞ……大丈夫か?」と私が問うと、彼は電話越しにこう呟いた。

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「サンジュン……ヤクザってバリ強いわ~。やっぱりプロじゃ~」

──不覚にも笑ってしまった。大笑いしてしまった。明らかに悲惨な状況であるにもかかわらず、彼は私に心配をかけまいと、とんでもない角度の切り返しをしてくれたのだ。ヤクザにボコられた翌日、こんなに優しい言葉を吐ける男がいるだろうか?

「人様に心配をかけない」「人に気を使わせない」と心がけている人は多いと思うが、彼はその先を行く「人を楽しませる」の極地にいる人間だ。彼の口癖は「男の魅力はサービス精神」だが、彼と出会ってから私の座右の銘にもなった。「男の魅力はサービス精神」いい言葉じゃないか。

執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.

▼全然関係ないけど、広島県民って本当に広島弁が抜けないよね。

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広島来たら来るよね。

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