世界中に普及しているスマートフォン。iPhoneとAndroid端末が世界のスマホシーンを二分していると言っても過言ではない。
そんななか、ブラジルでまさかの事態が起こったそうだ。それは、ブラジルの「iPhone」に搭載されるOSはAndroidだというのである。これは中国で見られるようなパクリケータイではない。ブラジル当局も認めた正規版iPhoneなのだ。
なぜこのような事態になってしまったのだろうか? それはアップル社がブラジルで「iPhone」の商標権を認められなかったためである。
2000年、ブラジルでは現地家電メーカーGradiente社がスマートフォンの開発に着手した。名称は「Internet Phone」略して「iPhone」である。Gradiente社の親会社であるIGBは商標を申請。これはアップル社が初代iPhoneを発表する7年も前のことだ。
そして、2008年1月、ブラジルの知財管理当局は商標の使用権を認めた。ブラジルの法律では商標取得後5年以内に商品を発売しなければその権利は無効となる。Gradiente社は期限ギリギリの2012年12月にAndroid搭載の「iPhone」を発売した。
この動きにアップル社は同社が商標を保持するために無理矢理「Android搭載iPhone」を発売したと見たとのこと。実態がないとして知財管理当局に異議を申し立てた。しかし2月13日、当局はその申し立てを棄却、IGBの2018年まで独占使用権を認める決定をしたのだ。
正式に認められた「iPhone」はGradiente社の「Android搭載iPhone」ということだ。今後、アップル社がブラジルでiPhoneを販売すれば、Gradiente社の権利を侵害したとして訴えられる可能性がある。もちろん、アップルはこの決定を不服として上訴する構えだ。
同様のケースとしては中国でiPadの商標権が争われ、アップル社は商標権を持つ中国企業に48億円支払うことで和解したことがある。今回も多額の和解金が支払われることになるのだろうか。注目したい。
(文=沢井メグ)
参照元:CRI、ET Today(中国語)
▼こちらがブラジルの「Android搭載版iPhone」だ