最先端企業によるマーケティングのイベント「アドテック東京」が、2012年10月30日から2日間の日程で、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催された。今年で4回目を迎えるこのイベント、新たなビジネスモデルを創出する国際会議として、全世界8都市で開催される世界最大級のデジタルマーケティングイベントだ。

海外のデジタルマーケティング事情は、一体どのようになっているのだろうか? 国内トップシェアを誇る企業「CyberZ」(サイバーゼット)は、2012年7月にサンフランシスコに支社を設立し、米国でも評価されるサービスの提供を行っている。同社の強みと今後の展望についてうかがった。

 ・言語、文化の壁を超える
スマートフォン市場ではこれまでのデバイスとは異なり、国内ゲーム企業などにおいても海外へのチャンスが大きくなっている。同社の開発担当役員である市川陽氏は、サンフランシスコ支社設立に先立って市場観を調査するために、5月末に米国入りしたという。支社設立から3カ月を経て、ようやく体制が落ち着いたとのことだが、ここまでの道のりは「楽ではなかったですね」と市川氏は話す。

「日本とは、言語はもちろん文化も違います。日本では業務上簡単にできることも、なかなか思うようには行かないのが、正直なところです」。そして、言語や文化などの壁を超えるために、国内スマートフォン市場のパイオニアとして、新たな市場を切り開くためのサポート出来る体制や技術を提供していきたいと語ってくれた。

・求められるものをスピーディに開発
そんな状況下でも同社が評価されたのは、日本で初めてとなるスマホ専用の広告効果測定ツール「 Force Operation X(F.O.X)」(フォックス)を主力商品として開発していたことだろう。2011年2月に、国内初のスマートフォン専業の広告代理店として、国内市場をけん引してきた実績がある。培ってきたノウハウをもとに開発された解析ツールは、米国のゲームサプライヤーにも納得するクオリティを提供しているのだ。

そして、ニーズをダイレクトに開発に反映していることも、同社の魅力のひとつ。市川氏は、「開発は常に半年先を見越して行っています。スマホ広告の分野は、急スピードで変化を続けています。先々を見通して、求められるものをスピーディに開発してきたことが、今の実績につながっていると思います」と説明し、“スマートフォン”に特化して開発する体制が整っていることや、他社が半年先に実装できるような機能を常に実装し続けることが、同社サービスの強みだと説明している。

・良きパートナーの存在
とはいえ、海外でビジネスを安定させるのには、良きパートナーの存在が重要のようだ。この日、同社のブースでモバイル広告大手の「Tapjoy」(タップジョイ)のデベロッパー・リレーション部門責任者クリスティーナ・リー氏のトークセッションが行われた。Tapjoyは月間1億人のアクティブユーザーを持ち、アプリインストール端末台数は累計で9億台を突破している。

世界的に見ても屈指の企業なのだが、クリスティーナ氏は海外で事業を拡大するうえで、「良いパートナーが重要」と話している。良いコンテンツを制作できるだけでは、先にも挙げた言語・文化の壁を乗り越えていくことが難しいようだ。

同社は今後、米国での事業をさらに加速させていくとのことだ。スマートフォンにおいては国内の技術力は、北米などと比較しても大きな遅れはなく、優れている部分もあると語る市川氏は、CyberZとして常に新しい技術力にチャレンジし、スマートフォンアド業界に新しいルールを創るような存在でありたいと将来を展望している。これからの同社の活躍に期待したい。

参照元:CyberZ

▼ CyberZ 深見一平氏

▼ Tapjoy クリスティーナ・リー氏