隣人とは、素晴らしくて面倒な存在だ。味方になれば食べ物を分けてくれるし、なにかあれば相談に乗ってくれるし、暴漢に斧で襲われて絶体絶命の大ピンチのときは警察を呼んでくれる(たまに呼んでくれないときもある)。しかし、ひとたび仲が険悪になれば最悪だ。壁一枚隔てた向こうに理不尽な人が住んでいるなんて、ひとときも心が落ち着かない。
筆者は2014年の秋、京都府から東京都へ上京した。23歳の若者らしく夢を見て東京の地を踏み入れ、慣れない標準語に「ほげぇ」と悪戦苦闘しながら中野の賃貸マンションに入居した。家賃は4万8000円。鉄筋コンクリートだけど、とても壁の薄いマンションだ。