マウントを取っているつもりは1ミリもないが、当サイトの中澤記者は「無知」と申し上げてよかろう。セイジくん(中澤記者)には尊敬の念を抱いている一方で「そんなこと知らないの!?」と驚かされることが多々ある。

少なくとも同じ41歳の男性と比較すると、中澤記者はかなり “人生初” が多いハズ。その中澤記者にふとしたことから『バインミー』をご馳走することになったのだが……。

・全力ピュア

馬鹿にした感情はこれっぽっちもないが、まあセイジくんはモノを知らないことが多い。記者として当サイトで働き始めるまで「ケンタッキーも食べたことない」と知ったときは、その場にいた全員が凍り付いていた。

思春期からギターを始めたというセイジくんは、ある意味で生粋のロックンローラー。入社して間もない頃、お客さんに片手で名刺を渡していたときは「ちょっと! それはダメだよ!!」と注意したなぁ。

そんなセイジくんが『バインミー』を食べたことがあるワケがない! ここ数年、ベトナムのサンドイッチとしてかつてなく人気の『バインミー』と言えど、赤子レベルで物を知らないセイジくんの耳まで届くには相当な知名度が必要なのだ。

・名店のバインミー

さて、つい先日のこと。昼どきに高田馬場にいた私は “バインミーモード” に突入した。そう、高田馬場にはその筋では有名な「バインミー☆サンドイッチ」があるため、ふとした瞬間にバインミー気分になりやすいのである。

「バインミー☆サンドイッチ」のバインミーは単なる絶品で、ほど良くハードなフランスパンとこちらもほど良く酸味の効いたなますが超最高! もちろんパクチーと相性が良いことは言うまでもない。

自分の分だけ購入しても良かったが、せっかくならセイジくんにも食べさせてあげよう! というわけで、最もポピュラーな「ベトナムハム & レバーペースト(680円)」を購入し会社に持ち帰ることにした。


中澤「フフフ、ナメてもらっちゃ困りますよ。バインミーは知ってます、確かベトナムのサンドイッチですよね? でも食べたことは無いです。実な前からちょっと気になってたんですよね~」


なんとバインミーを知っていたというセイジくん。だが食べたことが無いのは予想通りであった。さあ、セイジくん! ここのバインミーは超美味しいから食べてごらんよ!! 


中澤「なんか漬物みたいなニオイがしますね……」


中澤「ではいただきます」


中澤「……」


・どうなんだ

いや、もうちょっと「ウマ!」とか言えよ!! どうなんだどうなんだ? 人生初のバインミーはどうなのか詳しく聞かせておくれよ!


中澤「なますが入ってるんですね。そのせいでパンがややウェッティというか。あとレバーペーストは普通なんですか? ちょっと想像してたバインミーとは違うけど、確かに美味しいです。なるほど、これがバインミーか」


想定していたリアクションとはやや違うが、中澤はこういう男である。目に見える感情の起伏は少ないものの、心はゴリゴリのロックンローラー。「おいしい」と言っていたので今回はそれで良しとしよう。ところが……。


中澤「これいくらなんですか? 680円かー。ベトナムで安く食べられるならメッチャいいと思うんですけど、700円出すなら僕はやよい軒に行っちゃうかな~? いや、美味しいんですけどね。サンドイッチに700円出す文化が僕にはない」


良くも悪くも中澤はマイペースかつ正直な男である。価値観は人それぞれ。無知な後輩にバインミーをご馳走した結果、そんな当たり前のことを再確認させられた冬の日であった。でも俺はやよい軒よりバインミーだもんね!

執筆:P.K.サンジュン
Photo:Rocketnews24.