コミュニケーションのツールとして、多くの人が使っているLINE

そんなLINEのトーク画面に出てくるLINE NEWSは閲覧数が非常に多いことでも知られている。

政治経済からエンタメまで、国内の主要ニュースを朝昼夕夜の4回ダイジェストで配信しているのだが、特にニュース性の高いものは号外として「速報」が入ってくる。

近ごろ、その「速報」がけっこうな頻度で流れてくるのだが……最近のチョイスがちょっと謎なのである。

・約4000万人の登録者がいるLINE NEWS

約4000万人が友達登録をしているLINE NEWSの公式アカウント。友達登録をしているとLINEのトーク画面にニュースが配信されるので、その影響力は絶大である。


スマホの通知画面にLINEニュースの「速報」が表示されると反射的にチェックしてしまう人も多いと思う。速報が打たれるのはだいたい、新聞の一面を飾るようなビッグニュースだからである。

たとえば政治問題とか著名人の訃報、著名人の結婚・離婚、各地で起こった災害情報、事件など……。


ところが、2023年12月に入ってから、LINE NEWSから入ってくる速報が妙に増えたのである。もちろん重要なニュースもあるが、中にはちょっと微妙なものが含まれるようになってきた。

ニュースのネタが軽いというか、だんだんスケールが小さくなってきているというか……。なんとなく違和感を感じていたのだが、12月15日の昼にさすがに「審議!」と言いたくなる「速報」が入ってきたのである。



・寺尾聰の紅白事件

その速報は寺尾聰が16年ぶりに紅白に出場して『ルビーの指環』を歌う……というものだった。


えっ!! 


ちょっと考えてみてほしい。「ルビーの指環」はたしかに歌謡史に残る超名曲である。紅白で見られるのは嬉しい。ビッグニュースといえばビッグニュースである。私だって紅白で「ルビーの指環」を聴けるのは嬉しい。


けど……「速報」で号外を飛ばすほどのニュースなのかと言われると微妙な気がする。


寺尾聰が紅白初出場で、ついに「ルビーの指環」をついに歌う……とかなら分かる。

でも16年ぶりか……。速報を飛ばすにはさすがにちょっと、微妙じゃないか?


・去年の12月のLINEニュースと比較する

なんとなくの印象論だけで語るわけにはいかないので、LINE NEWSの去年の同時期に送られてきた速報と今年の速報を比べてみることにした。


まず、LINEニュースが2022年12月1日〜15日に送った速報の数は16本で、内容は以下の通り


それに対して2023年の12月1日〜15日に出した速報の数はなんと50本!


数だけでも、実に昨年の3倍もの速報を乱発しているのである。


さらに内容も異なる。2022年は政治とスポーツ、訃報など真面目なニュースがメインだったが、今年はM−1の決勝進出発表や和牛の解散、交際報道などエンタメ系が混ざっているのが特徴だろう。(個人的に、和牛の解散は本当にビックリしたが)



・LINEニュースが「速報中毒」になってる説

しかし、ネットニュースの記者として、このLINEが「速報」を飛ばしまくる気持ちは分からなくもない。【速報】とつけるとPVが増えるからである。

いわば「速報」はネットニュースにとってはカンフル剤、あるいは麻薬……。まして、4000万人も登録しているLINE NEWSならばその効果は絶大だろう。

特に年末年始はネットニュースにとっては、かきいれ時。「速報」乱発はできるだけ沢山のPVを得るためにLINEニュースが模索していることの現れだろう。


ぶっちゃけ我々ロケットニュースも、微妙……というか非常にどうでもいいニュースに【速報】を付けて配信することが多い。

とはいえ「昨日のニュースをいち早くお届けしたい」がモットーの我々の場合、たとえば松屋のゴロチキが再販するとか、マクドナルドの新作が〜とか、そういうロケットニュース的定番ネタに対してである。「こんなことに速報をつけるんじゃないよ!」 というツッコミ待ち……と言ってもいいだろう。


で、この【速報】中毒のロケットニュースから言わせてもらうと、速報を乱発しすぎるとたいして効果がなくなるのである……。

人は恐ろしいもので慣れてしまう。最初は「えっ、速報!? なになに?」と思っていても、最終的には乱発されるとうるさくなって通知オフにされてしまう……ということだって考えられる。

というわけで、LINE NEWSさん、あんまり【速報】を乱発しないでくださいませ。微妙なニュースに「速報」をつけるのはロケットニュースだけで十分だと思いますので……。


参考リンク:LINE NEWS
執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.