遠方に出かけると、私(佐藤)は必ずスーパーに立ち寄る。コンビニは大抵どこの地域に行っても品揃えは同じだが、スーパーにはその地域にしかない商品を扱っていることが多いからだ。弁当や総菜、地元製造の菓子などにその地域の食文化を見受けることができる

先日、岐阜県飛騨市を訪ねた際も他の地域ではあまり見ない和菓子を発見した。それが「天ぷら饅頭」である。饅頭を天ぷらにするの? 気になったので、購入して実際に揚げてみた!

・飛騨の名物

この商品は、スーパーマーケット「バロー」神岡店で見つけたものである。バロー自体に訪ねるのも初めてだったが、天ぷら饅頭を目にするのも初めて。


このお店で販売しているのは、「大坪製菓」というメーカーの商品である。


天ぷら饅頭15個入り税別950円。揚げ立てが1番美味しいという理由から、衣をつけずに販売しているそうだ。


これが実物、天ぷら饅頭、揚げます!


紅白2色の饅頭がキレイに並んでいる。一見、どこにでもありそうな饅頭のようだけど。


付属のしおりによると、紅白の色はめでたいことをあらわし、お祭りや正月などのご馳走(ごっつお)の1つとして飛騨の人々に親しまれているそうだ。余談だが、私の地元(島根)でもご馳走のことを「ごっつお」と呼ぶ。意外なところに共通点があることに驚いた。

本題に戻って揚げ方を見ると、衣をつけて油に入れ、キツネ色になったら出来上がりとのこと。説明は意外とシンプルだな。


揚げる前に食べてみると……。生地は水分が少なくパサパサしている。餡子は甘さ控え目で、全体的な味の主張は弱い気が……。お供え物のお饅頭みたいだ。


・美味しさの飛躍

揚げてみよう。ボウルに天ぷら粉を入れて適量の水で溶く。



そこに饅頭を入れて、衣をまんべんなく付ける。


そして加熱した油に入れて揚げる。今回控え目な油の量で揚げたが、饅頭が泳ぐくらいの深さがあった方がキレイに揚がるかもしれない


ほんのり色づいたところで、取り出して粗熱をとる。


できました。しおりの説明通りに、作り方はカンタン。あっという間にできてしまった。


食べてみると……、揚げてないのとは比べものにならないほど美味しい! 揚げ立てなので衣はサックリ。パサパサだった生地はほどよく油を吸って、しっとりと仕上がっている。さらに、加熱することで餡子の甘味がより強く感じられる。

あえて例えるなら、揚げる前が界王拳(1倍)だとしたら、揚げた後は界王拳20倍くらいの美味さである。これはやっぱり、揚げてこそ真価を発揮する饅頭だった。


ちなみに天ぷら饅頭の食文化は、岐阜だけでなく滋賀や長野。遠くは福島や私の地元島根にも存在するそうだ。全国的に広まることなく、各地の郷土料理としていまだに親しまれている点はとても興味深い。

いずれにしても、揚げる前と後の味の変化が面白いので、機会があればぜひ一度ご賞味あれ。


参考リンク:日清オイリオ
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
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