まだ生きている魚介を食べることを「踊り食い」という。しかし、ウニとかホタテのような動きがないものは踊り食いとは言わないのだそうな。
それで言うと、今回のイカはめちゃめちゃ踊り食いであった。運ばれてきた「活あおりイカ刺し」はゲソがにょろにょろピクピク元気いっぱい。ちょっと怖いくらい命を感じる。って、そんなところまで動くんですか!?
・イカセンター
そのイカ刺しに出会ったのは新宿西口にある飲み屋『イカセンター新宿総本店』でのこと。イカセンターと言うからには、とっておきのイカを食いたいということで、メニューでひと際オススメされていた「活あおりイカ刺し(税込3900円)」を注文してみたのである。
注文の段階では「活」の意味すらよく分かっていなかったのだが、スタッフさんがこれから調理するイカを見せに来たところで意味を理解した。つまり、活き造りというわけか。
・食べてしまって大丈夫なのか
ちなみに、この日は少し小さいイカしか残ってなかったらしく、かわりに2杯捌いてくれるとのこと。日の仕入れとか状況によってフレキシブルに変わるメニューのようだ。今回、フラッと入ってあったのはひょっとしたらラッキーなのかもしれない。
で、まずゲソが運ばれてきたところで冒頭に繋がる。醤油をかけるまでもなく明らかに動いている。イカの踊り食いどころか、これだけ動いているものを食べるのも初めてなのでちょっと怖い。食べてしまって大丈夫なのかという気さえする。
・そんなところ動くんですか
そんな感じでマジマジと様子をうかがっていたところ、動いているのはゲソ全体だけじゃないことに気づいた。え? そんなところまで動くんですか!? 私がそう思わずにいられなかったイカの動きとは……
柄。
ゲソについた黒い斑点みたいな柄の1つ1つが大きくなったり小さくなったりしてうねうね動いているのである。柄って時点で表面についているものという捉え方をしていたが、哺乳類の柄とは根本的に違うものなのかもしれない。
・実感
考えてみたら、ここまでゲソの様子をマジマジ観察するのも初めてである。水族館で泳ぎまわってる状態を見てもこんなこと気づけなかったしな。ドクンドクンと呼吸するように動く柄はにょろにょろしたゲソの動き以上に命を感じた。
今の世の中、活き造りってそこまでレア度が高いものではない。「食べた」と言っても「へえ」くらいのもんだろう。それゆえに、こんなに生を実感したことが意外であった。
・いただきます
「いただきます」と手を合わせて食べたところ味は非常にまろやか。新鮮なイカってあっさりするのかと思っていたら、トロトロしたまろやかさが増して後味に重みすらある。
本体の刺身についてもそれは同じ。さらに、本体の刺身は塩で食べると甘みまで感じられる。イカに対して、醤油で食べるのがもったいないと思ったのは初めてだ。
食べる前はイカだったらもう1つくらい注文してもいけるんじゃないかと迷ったが、注文しなくて良かった。というわけで、全てにおいて思てたんと違ったイカの踊り食い。これが命の重みか。ご馳走様でした。
・今回紹介した店舗の情報
店名 イカセンター新宿総本店
住所 東京都新宿区西新宿7-10-13
営業時間 17:30~23:00 / 日・祝15:00~22:00
定休日 年末年始
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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