私は子供の頃から片付けが死ぬほど苦手で、上京してから20年近く散らかった部屋に住んでいた。だいたい5年ぐらいかけて、部屋を片付けてちょっとずつ人生がマシになっていった

その経験を語るこの連載。第3回は部屋を片付けたにも関わらず恋人に振られた苦い思い出を語った。

今回は、部屋の片付け方がわかり始めたときの話をしたい。

物をしまいこむだけの中途半端な片付けから脱したきっかけは……インスタグラマーとキッチンであった。

・男に振られて約10年後…

部屋を見せて恋人に振られてから約10年間、まったく部屋の片付けをしなかったわけではない。生活を変えたいという思いは強かったので、年末になれば「片付いた部屋で新年を迎えよう」と思って、いちおう片付けに着手していた。

しかし、私はずっと「間違った片付け」をしていたため、片付けては散らかるのを繰り返していた。そもそも、物が多すぎて片付けに膨大なエネルギーを要したので、中途半端な片付けしかできなかったというのもある。

また、世はインスタグラム全盛期となり、SNSには丁寧な暮らしをしている人たちの姿がアップされるようになった。羨ましい。私もこんなゆとりのある暮らしがしたい……。

そうやってインスタグラマーのマネをして買った食器やインテリア達が私の部屋に置かれた途端、輝きを失い完全なるガラクタと化す。理想とは程遠い生活。

インスタをよく見ると、素敵な部屋をアップするだけではなくて、無印やニトリの商品を使った収納方法を紹介している人たちがたくさんいることがわかった。ありがたい……。



・とりあえずキッチンをどうにかする

わりとどの片付け本にも、まずは冷蔵庫やキッチンの片付けをするのがオススメと書いてある。

スペースが狭いのと、賞味期限の切れた調味料とか、無駄にとっておいた割り箸などの不用品のジャッジが簡単だから、らしい。

私自身、とりあえず自炊がしたいのと、集めた食器を使いたかったので、キッチンを徹底的に片付けてみることにしたが、結果的にこれが大正解だった。

そして、物をしまい込むのではなく、よく使うものは手に取りやすい場所に置き、定位置を決めてあげるのが大事だと誰もが言っている。

「お前はそんな当たり前のことすら知らないのかよ」と言われそうだが、片付けNOセンス原始人の私はそんなことも知らないのだ。学校で習わないと九九が言えないのと同じようなものだろう。



・捨てる、場所を決める

使いづらいキッチン用品などは全部捨てて、とにかく調理するときに使いやすい場所に物を置くように、完全にシステムを組んだ。拭いて仕舞うのが面倒なフライパンとか、調理中によく使うフライ返しやお玉は壁にフックをつけてぶら下げるようにしたり。

あとは、シンク下には小さな棚を置くと、物を置ける空間が増える……ということも学んだ。シンク下用の伸縮棚は本当に買ってよかったもののひとつ。

こんな便利なものがスーパーのキッチン用品売り場で2000円くらいで売られてるなんて知らなかったよ……。

そうして徹底的に使いやすいキッチンを構築した結果……。いつもなら片付けてもすぐにリバウンドするのに、綺麗な状態をキープできたのだ。奇跡である。

さらに、キレイなだけではなく、使いやすいので自炊がめちゃくちゃはかどった。


①料理がしやすい
片付いてると調理するときの作業スペースが十分に取れるので、作業がしやすくストレスがない。散らかってるときは切った野菜や調味料を置く場所がなくて、それが嫌で料理がしたくなくなる……という悪循環だった。

②料理の失敗が減る
物の置き場所が決まっていると、探す手間が省けるので調理の失敗も減る。物の場所が決まってなかったときは、調理中に調味料を探して焦がしたりしていた。

③汚れても掃除しやすい
キッチンは汚れやすいけど、鍋が吹きこぼれたり、調味料をこぼしたときも、片付いているとすぐに拭いて掃除しやすい。そもそも汚れが目立つのですぐ掃除しようと思える。


結果的に、収納と整理の恩恵がわかりやすいキッチンを最初に片付けたのは正解だった。片付けるって生活しやすくなるってことなんだ……と、実感できたからである。

あと、自分は片付けができないと思ってたけど、やり方が分かればちゃんと片付けできるんだという自信にもつながった。

もしかして自分の生活があんまり上手く行ってないのって、部屋が散らかってるからでは……? そう思った私は、本格的に片付けに着手することになった。


執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.