岡山の局地的ソウルフードに『えびめし』というのがある。私は車を30分くらい走らせれば岡山県に突入する “岡山寄りの鳥取” の出身なので、岡山事情には比較的明るいほうだと自負しているが、それでも『えびめし』を知ったのは大人になってからだ。

つまり『えびめし』は比較的マイナーな存在で、提供する店も多くない。仮に岡山県を訪れたとて、偶然出会う確率はかなり低いグルメなのだ。

にも関わらず……『えびめし』は、本当にウマい。国民の大多数が『えびめし』を知らずに死んでいくなんて、想像するだけで辛いほどなのである。これ……どうにかなりません!?

・どうにかしたい

岡山でえびめしといえば、有名なのは市内に数店舗を構える『えびめしや』のえびめしだ、と、思う。他県民のくせに知った口をきくのは気が引けるなぁ。

『えびめし』がどういう料理かというと、実は私もよく分かっていない。見た目は「ウスターソースをぶっかけたかのごとく黒光りした米 with えび」といった感じ。『えびめしや』の場合はタマネギと、上に錦糸卵が乗っている。

味はカレーピラフに近いけど……なんか違う。岡山観光WEBによると「お店ごとに様々な隠し味を施してオリジナルの味を出しています」とのことで、明確な定義はないのかもしれない。

で、先ほども申し上げたとおり、えびめしはウマい。そして提供する店が少なく、再現も困難である。「何とか他県の人にも知ってほしい」と思っていたところ……このたび西日本を中心に展開するスーパー『ラ・ムー』に、『冷凍えびめし』が売られているのを見つけた! 

これは朗報なのか!?


・ラ・ムーは岡山発祥です

ラ・ムーやディオなどディスカウントスーパーを多数運営する大黒物産は、岡山県に本拠地を置く企業。出店エリアは九州〜中部地方と広いが、商品を注意深く観察すると、時おり岡山の風を感じることができる。

そんなわけなので、大黒物産のプライベートブランドD-PRICE(ディープライス)に『冷凍えびめし』がラインナップされているのも、考えてみれば必然なのかもしれない。350グラム入りで価格は税込198円。安い。

普通にレンジでチンする以外に、フライパン調理もOKらしい。単純に冷凍食品のレポ記事であればレンジを使うのが妥当だが、今回の目的はあくまでも「おいしいえびめしを食べる」こと。ここは力の限りフライパンを振ることにする。

冷凍状態のえびめしは、どことなくチョコフレークみを感じさせるビジュアル。

加熱すると、かなりイメージのえびめしに近づいた。


あ…………結構いいセンいってる!!!!


本物のえびめしよりは全体的に味が薄めで、最大のポイントである “カレーの風味” もやや弱め。だがしかし……分かる。言いたいことは分かるぞD-PRICE!

「本物のえびめしみたい」と言えば嘘になるが、冷凍食品で、この安さで、これほどクオリティの高いえびめしを生み出した大黒物産の企業努力は「さすが」と言わざるをえない。個人的には具材やカレー粉を足せばより完全なえびめしになる気もしたが、そちらは上級者テクといえよう。

冷凍えびめしでえびめしの全貌を掴むことはできない。しかし “えびめしの雰囲気” を知ることは十分可能である。岡山は遠いけど近所にラ・ムーがあるという方、一度試してみて! 気に入ったら岡山へ行ってみてね〜!

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.