誰にでも経験があるだろう。ふとした拍子に、昔よく聞いた音楽が頭に流れることが。思い出がフラッシュバックするあの感じ、私(佐藤)は不意に今から30年前の高校生の時によく聞いたパンクロックバンド「ジュン・スカイ・ウォーカーズ」の曲が流れたのだ。

思い出したのをきっかけに、当時理解できなかった歌詞の一節が心に引っかかった。その曲『レッツゴービバリーヒルズ』は、「金がないときは狭山に行こう」と歌っている。

なぜ狭山に行くのか? 発売から33年を経てその意味がやっとわかった! 「狭山そば」に行こうという意味らしい。ってことで狭山そばを訪ねたところ、そもそも私はこの曲に関してトンデモない勘違いをしていた!

・ジュンスカと私

ジュン・スカイ・ウォーカーズは、バンドブームの最中の1988年にメジャーデビューしている。97年に解散するも07年に再結成、現在も精力的に活動を続けている。ちなみに元メンバーの寺岡呼人さん(ベース)は、フォークデュオ「ゆず」を見出したことでもよく知られている。

そんな彼らは私にとってのスターバンドのひとつだ。高校生の時に初めて組んだバンドでコピーをやっていて、初ライブでも演奏した思い出がある。ジュンスカは私の青春といっても過言ではない。

個人的に印象深い曲は1stアルバム収録の『遠くへ行かないで』。高校を卒業時に好きだった子と離ればなれになるのがイヤで、この曲を泣きながら聞いたものだ。私も青かった……


・「狭山」は狭山そば

それはさておき、今回私を行動にかき立てた曲には「金がない時は狭山に行こう」とある。なぜ狭山に行くのか? 金がないならバイトするとか、親に金を借りに行くとかではなく、狭山に行こうと言っている。

当時はその一節をナゾに思いながら、ゴキゲンで口ずさんでいたのだが、今になってそれが地名であると悟った。そうか! 埼玉県狭山市のことだ!!

で、この一節のあとに「七味をかませば心も身体も燃える」と続く。こりゃ狭山と言われる場所は食いもん屋だな。その推理が的中して、私は「狭山そば」という答えにたどり着いたのであった


・茶そばの食えるお店

その狭山そばは、株式会社ウエスコが運営する西武鉄道の駅そばである。以前は沿線に結構お店があったらしいのだが、2023年現在で現存するのは所沢と清瀬の2店舗のみだ。

所沢駅の1番線ホーム上にある所沢店にやってきた。これがあの狭山だな。30年前に何度も口ずさんだあの狭山が目の前にある。思わず目頭がアツくなってしまう。こんな形で出会うお店があるなんて、人生とは不思議なものだ


メニューを見ると全部ウマそう! しかも結構安いし。かき揚げ・春菊天・コロッケ・豚肉・山菜……、どれもいい。全部食いたくなっちゃうよ。


季節限定商品もイイね! 冷やし明太とろろのビジュアルの強さよ! 豚肉つけ麺も捨てがたい。初狭山そばでは何を選ぶのが正解なんだ。ジュンスカよ、教えてくれ!


本来であれば、歌詞にしたがって七味をかませるものを選ぶべきだが、色味の誘惑に負けて「狭山の茶そば」(税込500円)を選んでしまった。ミニ鶏五目ごはん(税込200円)付き。冷たいそばだから七味はかませない。ジュンスカよ、すまん……


茶そばの食えるそばチェーンってないよね? 若い時にハマってコレばっか食ってた時期があって、懐かしくて思わず頼んでしまいました。実に鮮やかな緑色、さすが茶どころ狭山である


つゆにつけてズルリとすすると、鼻を抜ける華やかなお茶の香り。そばを食いながら「涼感」も得ようという、欲張りな一品だ。だからこそぜい沢な気持ちになれる。これから暑さは盛りを迎える。額に汗がにじむような日に食ったら最高だよな。


ミニ鶏五目ごはんもまた、滋味深くて味に癒される。


うちの地元(島根)には「しょけめし」と呼ばれる鶏五目ごはんがあって、それを思い出させてくれる優しい味だ。地元のより若干味が薄く感じるのは、西日本と東日本の味付けの違いかも。


・33年目に気づいた真実

とにかく、長年の疑問のひとつが解決して大変満足している。おかげで今夜は安心して眠れそうだ。ってことで、所沢を後にするとしよう。そうだ、音楽配信サービス「Spotify」ならジュンスカの曲が聞けるかもしれない。さっそく検索してみると……。


ほらあった! デビューアルバムからあるなんてスゴイね! さすがSpotifyだ。


あの曲が入った作品は、たしか5曲しか入ってなかったからミニアルバムでシングル扱いだったはず。シングルの項目を見るとあった! ……だが、これは!?


「Let’s Go ヒバリヒルズ」、 “ビバリーヒルズ” だと信じて疑わなかったのに、違った~~~!


あの当時、作品を買った友達にダビングしてもらったカセットテープを聞いていたから、曲名を正確に把握していなかった。「ヒバリヒルズ」ってことは、この曲はひばりが丘(東京都西東京市)を歌ったものだったのね。ビバリーヒルズじゃない……


今になって気づくとは……。人生とは不思議なものだ

でもこの曲聞いたら、元気出た! 明日からがんばろう~!! レッツゴーヒバリーヒルズー! レッツゴーヒバリーヒルズー! 俺の1等地、オイ!!


参考リンク:ジュン・スカイ・ウォーカーズSpotify
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
Screebshot:Spotify(iOS)

▼ジュンスカの公式YouTubeチャンネルに当時のMVが公開されている。当時のひばりが丘駅で撮影したものようだ。狭山(さやま)そばもしっかり登場しているぞ