滑走路を一般に開放する「入間基地ランウェイウォーク」が、2023年6月3日に航空自衛隊入間基地で開催された。普段は入れない “滑走路を歩く” という体験型の自衛隊施設公開で、入間基地に限らず各地の航空基地で人気のイベントである。

ちなみに今年は事前申込制で、倍率11倍以上という抽選の壁を突破した約1000人(プラス招待者約500名)が来場したという。そんなわけで今回は、イベントに参加できなかった方の分まで私がしっかり楽しんできたので当日の様子を詳しくレポートしたい。

・入間基地ランウェイウォーク

イベント当日、朝9時の開場時間に合わせて航空自衛隊入間基地に到着。小雨がぱらついていたが飛行場地区では傘(日傘含む)の使用ができないため、イベント参加者の多くはカッパを着用して来場していた。ランウェイ開始(11時)までに雨があがってほしいぞ。

では11時まで何をしていたのかと言うと、地上展示されている基地所属の航空機や車両を見て回っていた。もちろん自由に撮影可能。さらに「C-2」や「CH-47J」などは機内見学もできるらしく、順番待ちの長い行列ができていた。時間はたっぷりあるので並ぶことに。


・C-2

まずはブルーホエールの愛称で親しまれているC-2輸送機。世界に誇るメイドインジャパンの輸送機で、乗員は2〜5名。広々とした貨物室に110人を乗せて運べるという。

実際に乗り込んでみると、壁側に折りたたみ式の青色座席が並んでいる。天井がとても高く、車両やコンテナはもちろんヘリコプターなども搭載可能らしい。電光掲示板には「ようこそ入間基地へ!」と案内が流れていた。普段は隊員への指示などに使用しているそうだ。


そして……


いざコックピットへ……!


もしかしたら滑走路よりもレアかもしれない。聞けば、パイロット前面に設置された透明の板「ヘッド・アップ・ディスプレイ」には、高度や速度などの情報が表示され、計器に視線を落とすことなく前方を見ながら操縦できるそうだ。なるほど勉強になる……かっこいいなァ。


・CH-47J

つづいてチヌークことCH-47Jへ。世界各国で使用されているベストセラー機だ。東日本大震災の救援活動などでも活躍している。壁側には折りたたみの赤色座席が並んでいたぞ。

コックピットは右席が機長、左席が副操縦士。チヌークは飛行場以外のグラウンド等に着陸することもあるので、ホバリング中に下方が視認しやすい構造となっている。

なお、トイレとエアコンがないらしく、長い時は4時間ほど空の上で我慢することになるという。マジかよおい。


・輸送機の地上滑走体験も

また、ランウェイウォーク参加者の中から抽選で選ばれた方は、C-1輸送機の地上滑走体験を楽しんでいた。エンジン音の迫力がハンパではない……! すごい!


・ランウェイウォーク

そんなこんなであっという間に11時。すっかり雨もあがった頃、ピストルの合図とともにランウェイウォークがスタートォォオオ!

長さ約2キロの滑走路を含む4キロほどのコースを参加者たちが歩いて行く。着陸時についたタイヤ痕を眺めながらの大移動が始まった。


滑走路は思ったよりもずっと長い。スタート直後に記念撮影を楽しんでいたテンション高めの参加者たちも……折り返し地点を過ぎた頃にはただ黙々と歩いていた。

いくら普段歩かないと言っても、滑走路から見える景色は基本的に変わらない。真っ直ぐ伸びる滑走路をゆっくりと歩いていく。雨があがって本当に良かった。いや、大雨なら大雨で記念になったかも……などと思いながら、1人で歩き続けた。

滑走路のわきには「残りの距離が書かれた紙」を持つ隊員が立っている。雨があがって良かったと思ったのは私だけではないだろう。「お疲れさまです」「頑張ってください」「残り半分です」など温かい励ましの言葉を掛けられる。ありがたいことだ。

いよいよゴール。ゴール地点に目印となるものはなかったが、やはりゴールをすると気持ちがいい。約45分のランウェイウォーク体験だった。惜しくも今年抽選が外れてしまった方は、来年以降にぜひ参加してみてほしい。


・太鼓演奏なども

さて、会場内では基地隊員によって結成された「入間修武太鼓」による太鼓演奏や警備犬の訓練展示などの行事もあり、ゴール後もイベントを楽しむことができたぞ。

入間基地特製の「狭山茶空上げ」も試食。航空自衛隊調理競技会で銀賞に輝いた唐揚げなのだとか。抹茶塩を加えて旨味がアップした唐揚げは柔らかくてジューシー、歩いた後だからさらに美味しく感じられる。

レシピは航空自衛隊のサイトで確認できるので興味があれば作ってみてほしい。

というわけで、同基地の行事や見学に興味を持った方は、公式サイトを確認すべし。秋の航空祭以外にも自衛隊を身近に感じられるイベントはいくつもあるみたいだぞ。機会があれば私も別のイベントに参加したい。はじめてのランウェイウォーク、最高でした!


参考リンク:入間基地
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.
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▼ランウェイウォークの様子

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